orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

やしあか動物園の妖しい日常 68〜70話

[子猫のよちよち歩き]

 

 定食屋を出たあとは特に何がしたいという訳でもなかったので家に帰ることにした。

「はぅ~、こんな筈じゃ無かったんだけどなぁ」

 自転車のペダルを漕ぎながら手ぶらの自分を嘆いてボヤく。

 河原を通ると川の水がキラキラと輝いて見えた。小さい頃はこの河原の土手に寝転んで、空をぼボ~っと見て気持ち良かったのを思い出し、久々にやってみることにした。

 自転車を河原の土手に横倒しにして、その横で仰向けになって寝転ぶ。

 空を見上げると午前中と変わらず晴れ晴れとしており、大小の雲がゆっくりと風に流される。

「ん~!今やってもやっぱり気持ちいいじゃない!」

 腕と足を真っ直ぐにおもいっきりピンと張って身体を伸ばした。
 出来るだけ何も考えないようにして青い空と白い雲を眺める。

「空気も美味しい...」

 猫を選べなかったことや、ランチがイマイチで「なんだかなぁ...」と思っていた気持ちがスーッと薄れて行った。

 満腹のお腹と丁度良い気候で眠気がして来たその時...

「...ァー...二ャ...二...ニャー、ニャー」

 子猫の鳴き声だ!遠くからこちらに向かっているのか、徐々に鳴き声が大きくなって聴こえる。

 ムクっと身体を起こし鳴き声の聴こえる方向を見ると、黒い子猫がこちらに向かってよちよちと歩いて来る姿があった。
 
 子猫が「ニャーニャー」と鳴きながら頑張っているので、こちらに辿り着くまで待つことにする。

 草むらをかき分けてのよちよち歩きが可愛くて堪らない。かなりのところまで近付き、子猫の顔がはっきりとして来る。

 正直なところペットショップに居た高額な子猫達と比べるて特徴が無く、そこら辺に居るような野良猫に近い。

 でも、ペットショップの子猫達では決めかねていたわたしのハートをガッチリと鷲掴みにする何かがその子猫にはあった。

 子猫が膝元まで来ると両手で身体を包み込み抱きめ、わたしの頬に子猫の顔をくっつけてウリウリと頬擦りする。

 そして、腕を伸ばして子猫の身体を見るとオスであることがわかった。

「可愛い君はどこから来たのかなぁ?」

 この子が捨て猫なのか、飼い猫なのか、はたまた野良猫の親とはぐれてしまったのか、わたしは気になり出して辺りを見渡す。

 辺りには他の猫は見えない。この子が仮に飼い猫だとして、果たして遠くの家からここまでよちよち歩きで来れるだろうか?

 捨て猫を捨てるならせめて雨よけのあるところに置こうと思うのが、元飼い主の心理じゃないかな...

 とすると橋の下が怪しいのでは!?
 わたしはそう推理して、200メートルほど離れた橋の下まで子猫を抱いたまま歩いて向かった。

 

[有頂天の救世主]

 

 橋の下に着いてほぼ中央の場所へ目をやると、黒川探偵の推理が正しかった事を証明するダンボール箱が見つかった。

 近づいてダンボール箱の外側から見て行くと、フタの面に黒のマジックペンで大きく「捨て猫です。どうか拾ってあげてください」と書いてある。

 ダンボール箱の中にはボロボロのバスタオルと、ミルクが入っていたと思われるプラスチックの容器が置かれていた。

 この子は捨て猫で間違い無し!

 普段ならペットを捨てるような飼い主を責める気持ちが湧くのだろうけれど、今回ばかりはこの子を捨てた飼い主に感謝すらしていた。でもちょっと不謹慎だったかな...
 ま~、わたしは君の救世主になり、君もわたしの救世主ということで!

「これから君を我が家に連れて帰っちゃうぞ~♪」

 子猫の顔を見ながらそう言ってダンボール箱の中に戻し、ダンボール箱ごと自転車のある場所まで運んだ。

 ダンボール箱を自転車後ろに乗せワイヤーを使って固定する。

 わたしは自転車に乗り軽快にペダルを漕いで、気分良く家へと帰り着いたのだった。

「ただいま~っ!......まだ誰も帰ってないのかぁ、残念」

 この子を家族に早く見せたかったなぁ...
 
 腕時計を見ると今の時刻は3時を少し回ったところだ。
 喜び過ぎて忘れていたけれど、今日は平日だから一番早く帰って来るのは母で、いつも通りだと5時前後になるはず。
 
 あっ!そうだ。家族が帰って来る前に取り敢えずこの子の身体を洗ってあげよう。

 間違ってはならないと思い、子猫の洗い方をスマホで検索してみた。

 お、あったあった。なになに...「外で拾った場合はノミやダニが寄生していることがあり、健康状態も心配されるので動物病院に連れて行った方が良いです」と書いてある。

 そうなの!?まずは動物病院だったか~。そう言えば近くに動物病院があったような気がする。

「ごめんね子猫君。今から動物病院に連れて行くからもう少し我慢してね」

 子猫に話してダンボール箱の中に戻して自転車に乗せ、家の近くで見た事のある動物病院へ連れて行く。

 幸いにも動物病院は記憶していた通りの場所にあった。

 動物病院の受付の女性に子猫を拾った旨を伝えると、たまたま獣医さんの予定が空いていたらしく、すぐに子猫を診てもらうことが出来た。

 診察の結果、健康状態に異常は無く、身体に寄生するノミやダニの駆除もしてもらう。
 ついでに軽く洗浄された子猫は、綺麗になってわたしの手元に戻って来た。

 近くに動物病院があって良かったぁ。
 お代を払って家に帰り着くと、車庫に母の車が止まっていることに気付く。

 玄関に自転車を置き本日2回目の帰りを知らせる。

「ただいま~!」

 

 

[添い寝する]

 

 橋の下に着いてほぼ中央の場所へ目をやると、黒川探偵の推理が正しかった事を証明するダンボール箱が見つかった。

 近づいてダンボール箱の外側から見て行くと、フタの面に黒のマジックペンで大きく「捨て猫です。どうか拾ってあげてください」と書いてある。

 ダンボール箱の中にはボロボロのバスタオルと、ミルクが入っていたと思われるプラスチックの容器が置かれていた。

 この子は捨て猫で間違い無し!

 普段ならペットを捨てるような飼い主を責める気持ちが湧くのだろうけれど、今回ばかりはこの子を捨てた飼い主に感謝すらしていた。でもちょっと不謹慎だったかな...
 ま~、わたしは君の救世主になり、君もわたしの救世主ということで!

「これから君を我が家に連れて帰っちゃうぞ~♪」

 子猫の顔を見ながらそう言ってダンボール箱の中に戻し、ダンボール箱ごと自転車のある場所まで運んだ。

 ダンボール箱を自転車後ろに乗せワイヤーを使って固定する。

 わたしは自転車に乗り軽快にペダルを漕いで、気分良く家へと帰り着いたのだった。

「ただいま~っ!......まだ誰も帰ってないのかぁ、残念」

 この子を家族に早く見せたかったなぁ...
 
 腕時計を見ると今の時刻は3時を少し回ったところだ。
 喜び過ぎて忘れていたけれど、今日は平日だから一番早く帰って来るのは母で、いつも通りだと5時前後になるはず。
 
 あっ!そうだ。家族が帰って来る前に取り敢えずこの子の身体を洗ってあげよう。

 間違ってはならないと思い、子猫の洗い方をスマホで検索してみた。

 お、あったあった。なになに...「外で拾った場合はノミやダニが寄生していることがあり、健康状態も心配されるので動物病院に連れて行った方が良いです」と書いてある。

 そうなの!?まずは動物病院だったか~。そう言えば近くに動物病院があったような気がする。

「ごめんね子猫君。今から動物病院に連れて行くからもう少し我慢してね」

 子猫に話してダンボール箱の中に戻して自転車に乗せ、家の近くで見た事のある動物病院へ連れて行く。

 幸いにも動物病院は記憶していた通りの場所にあった。

 動物病院の受付の女性に子猫を拾った旨を伝えると、たまたま獣医さんの予定が空いていたらしく、すぐに子猫を診てもらうことが出来た。

 診察の結果、健康状態に異常は無く、身体に寄生するノミやダニの駆除もしてもらう。
 ついでに軽く洗浄された子猫は、綺麗になってわたしの手元に戻って来た。

 近くに動物病院があって良かったぁ。
 お代を払って家に帰り着くと、車庫に母の車が止まっていることに気付く。

 玄関に自転車を置き本日2回目の帰りを知らせる。

「ただいま~!」

 

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