僕達の世界線は永遠に変わらない [サバンナモニター]
「ドアを開けるからね。任せたわよ柴門さん」
「ああ」
美琴がドアに向けていた掌をゆっくり手前に引くと、その動きに合わせるようにしてドアが一人でに開いていく。
「ん!?なんか居るぞ...」
ドアの正面で身構えていた柴門が家の中を見て何かに気づいた。
「なになに!?人じゃないの?」
美琴の後ろに下がっていた葵が心配そうにして訊いた。
「人間じゃ無いのは間違いねぇ。テレビでしか見とことないようなでかい奴だ...名前は確かコモドドラゴン...」
「コ、コモドドラゴン!?何でそんなのが家の中に居るのよーっ!?わたし爬虫類は絶対無理ーーーっ!?」
急に取り乱して異常な反応を示したのは冷静沈着なはずの美琴だった。
冷静さを完全に失った美琴がブルブルと震えながら慌てて葵の後ろに隠れる。
柴門がコモドドラゴンだと判断したのは当たらずとも遠からずと言ったところだろうが...
「待て!?こっちに向かって来る!人の家を壊すのは気が引けるが撃つぞ!ライトボムッ!!」
「ボッ!」
家の中を走り向かって来る何かに危険を感じ、ボマー能力で咄嗟に攻撃を繰り出した!
「ボンッ!」
攻撃は直撃したがその何かは全く怯まず柴門に飛びつく!
「やべぇ!?加減し過ぎた!」
「シャーッ!」
「ガシッ!」
「ぬああああああああああ!!」
飛びついて来た何かが柴門の頭に噛みつことした寸前、口の上下に手を当てて防いだまでは良かったが勢いに負け、両者が抱き合うようにして後ろへ転がった。
数メール転がったところでピタリと止まり、相手が何者か悟った柴門が叫ぶ。
「こいつコモドドラゴンじゃねーーーっ!巨大化したトカゲだ!」
そう、今まさに柴門を噛み砕かんとしている者の正体はトカゲだった。
それもサバンナモニターと呼ばれるオオトカゲの一種で爬虫類の愛好家に人気が高く、昆虫や小動物を主食とする肉食系の動物である。
通常は成長して1mそこそこなのだが、このサバンナモニターは神の戒告の恩恵?を受け、その全長は4mに達するほど巨大であり、もはや恐竜と言って差し支えないだろう。
そのサバンナモニターが上になり、地面を背に仰向けになった状態の柴門が口を閉じさせまいと耐えている。
「くっ...こいつ凄え力だ。美琴!こいつの動きを止めてくれ!」
「さ、柴門君。ごめん。今はちょっと無理かも...」
答えたのは美琴では無く恐怖で硬直してしまっている葵。救援を頼まれた当の美琴はサバンナモニターを目の当たりにした直後、マンガのように泡を吹いて気絶していた。
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