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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第1話 窮地

 海沿いの峠に建てられた何処にでもあるような一軒の団子屋。

 季節は梅雨を迎える直前の過ごしやすい春終盤といったところであり、この日は天気ももっぱら良く、外で出来立ての串団子を頬張るには絶好の環境であった。

 だが、その心地よく長閑な環境をものの見事にぶち壊した一人の悪魔。

 人間界で屈指の戦闘力を誇る筈の仙花一行は、突如として現れた魔界の王子、悪魔の「亜孔雀(あくじゃ)」に切り掛かるも、ことごとく完膚なきまでに蹴散らされていた。

 十人力と言っても過言ではない怪力を持つ蓮左衛門は仰向けになって気絶中。

 才色兼備にして天才くノ一のお銀はうつ伏せになって気絶中。

 素の状態であれば全くもって戦力にならない薬師の九兵衛、彼の身に潜める怪異「デイダラボッチ」ならこの状況をひっくり返せたかも知れないのだが、彼もまた同じく絶賛気絶中という有り様である。
 
 この物語の裏若き乙女である主人公、希少な仙骨と仙血をその身に宿す、刀姫こと水戸仙花(みとせんか)は、気絶から立ち直りはしているものの、亜孔雀から受けた攻撃のダメージが抜けきれず、意識が朦朧として思うように動けない。

 仙花達の中で唯一、まともに身体の動く「居眠り侍」こと阿良雪舟丸(あらせっしゅうまる)が、不本意ながら己の内に潜む怪異「阿修羅(あしゅら)」の力を借りて応戦するも、亜孔雀渾身の攻撃をもろに受け苦戦を強いられている状況であった。

「ハァハァハァ...この、化け物め...」

 「剣聖」とも呼ばれる剣の超達人の雪舟丸が荒々しく肩で息をし、受け取り方によっては賞賛ともいえる愚痴をこぼした。

 

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