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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第2話 本物

 
 人生において三十代前半という年齢の雪舟丸ではあったが、その期間に命を賭した修羅場をどれほど乗り越えてきたか計り知れない。
 そんな彼に「化け物」と言わしめた亜孔雀の実力は紛れもなく「本物」と云っても差し支えないであろう。

 亜孔雀が雪舟丸をこのまま一気に追い詰めるかと思たのだが、悪魔は雪舟丸の位置する場所とは見当違いの方を向き、黒く能面の様な目が黄色く光らせ、卑猥に歪んだ口を大きく開いて笑う。

「グァグァグァグァ!真如よ起きているか?仙人界よりお前が命懸けで盗んでくれた鎧がやっと役に立ってくれたぞ」

 亜孔雀は自らが衝撃波で吹き飛ばし、地に倒れる聖天座真如に対して言ったのだが、倒れる彼女に反応は見られずピクリとも動かない...ようにも見えたが背中が微かに動くあたり、どうやら死んではいないようだ。

「...殺すつもりはなかったのだが、まさかな...まぁいい。かつて愛した女を己の手で殺めるのもまた一興というものだ...」

 悪魔に人を愛する心があったとは驚きに絶えないところであり、彼は勝手に真如が死んだものと判断したようだ。

 堕仙女の真如と魔界の王子である亜孔雀の過去については、「仙女覚醒編」で散々語らせてもらったので割愛しようと思う次第ではあるけれど、簡単に云ってしまえば、二人は曲がりなりにも一度は恋に落ち、完全に相反する仙女と悪魔が生活を共にするという信じられない事実があったのである。

 亜孔雀が真如を視界から外し、刀を構える手負いの雪舟丸の方へ視線を移す。

 と、雪舟丸と亜孔雀のあいだに何とか身体を動かした仙花が立ちはだかった。

 

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