刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第7話 愚行
刀姫こと仙花一味の中でも随一の頭脳を持ち、忍術の天才にして人を惑わすほどの美しさを兼ね備えたお銀が、九兵衛に続いて荒々しく身体を揺さぶられ目を覚まも。
「シュツ!」
と、懐中から取り出したクナイの刃先を仙花の喉元で寸止めする。
そしてボ~ッとしていた目を見開き、忍者の里で鍛えられたが故に起こしたとはいえ、鈍る頭で己の愚行を瞬時に悟った。
「せっ!?仙花様でしたか!?こっ、これはいささか大変な非礼を!深くお詫び申し上げます」
ついさっきまで気絶していた人間とは思えぬ素早い動作でお銀が土下座する。
その非凡な実力と美貌ゆえに気位の極めて高いお銀が躊躇なく土下座をするあたり、仙花への深い忠誠心と敬いの心がうかがえた。
クナイを喉元に突きつけられた仙花が美しい笑みでもってお銀に言う。
「な~に気にすることはない。そんなことより何処か身体に異常は無いか?」
「...ご心配に謝意を申し上げます。しかしながら我が身は丈夫に鍛え抜かれておりますゆえ、あんな攻撃を喰らった程度ではっ!?つっ!!??」
お銀が強がりを言いながら立ちあがろうとした瞬間、身体に激痛が走り中腰のまま固まってしまった。
「ハハハ、どうやら大丈夫じゃなさそうじゃなぁ。化け物は雪舟丸が片付けてくれた。無理をする必要はない、木陰で暫く休むといい」
仙花はそう言ってお銀に肩を貸し木陰まで共に移動した。
「仙花様、此度は役立たずで忝く存じます...」
お銀が申し訳なさそうに珍しくもしおらしい表情を見せたのだった。
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