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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第116話 心底

「童よ何を笑う?」

 

 仙花の高笑いに怪訝な表情をする天心。

 

「お主が無意味な選択肢を言うからじゃ。これが笑わずにはおられようか。儂がこの先成さなければならぬ怪異どもの殲滅、それに加え打倒『雲峡』という途方なく大きな目標ができたのだから、仙人より軟弱な人間のままでいても仕方がるまい...儂の意志は変わらぬよ、じゃから早う仙人へと覚醒してはくれんかのう」

 

 己の母を殺した者が雲峡であるかも知れないという疑惑は、先ほど当人に確認してからといった具合だったにも関わらず、仙花の心中では「雲峡に違いない」と決めつけている口振りであった。

 

「ケッケッケッ...つまらん、実につまらん。オレにとっては何十年ぶりかの仕事であったというのに、お主には三つの試練などまるで堪えていないようだな...」

 

 天心は心底つまらなそうにそう言った。

 

 実際のところ何十年も前、試練を受けに訪れた者は屈強な身体つきをした若い男であったのだが、単に身体が強いばかりでは天心の与える試練に耐えられず、発狂して洞穴を出て行ったものである。

 

 それに比べこの徳川仙花は、天心の与える全ての試練に対して予想を遥かに超えた結果を出すものだから、彼にとっては本当につまらなかったのかも知れないけれど、密かに彼女が「仙人になる資質あり」と認めてはいたのだった。

 

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