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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ33 最強級仙人

 真如の口から「仙女」なる単語が出た刹那、仙花の脳裏に嫌な予感が走った。

「...まさかな」

 ボソッと呟いた彼女の顔が曇り、それを見ていた真如が訝しげに訊く。

「ん!?どうしたのかのう...わしゃぁ未だ変なことは言っておらんぞい」

「あ、いやいや、気にせんでくれ。昨日一人の可笑しな仙女に遭遇したばかりででな。全く持って迷惑千万な仙女であったよ」

「...ほう、滅多に会うことの叶わぬ仙女に昨日会ったばかりで今日は儂か...お主の魂には様々な者を引き寄せる強い力が備わっておるやも知れんなぁ...その良し悪しは別としてじゃが...」

「引き寄せる力か...それは儂も昔から薄々感じておった。人に限らず動物や虫、果ては得体の知れぬ者まで近寄って来おったのう」

 仙花には光圀と出会った十歳の頃より以前の記憶は無い。よって彼女の言う昔というのは、十から十二歳くらいまでの短い期間を指すのだけれど、実際のところ、養父の光圀が彼女の身の周りには得体の知れぬ者がよく近づいて来おったわい、などと仙花は聞かされたものだった。

「くっくっくっ、やっぱりなぁ...して、昨日会った仙女の名は何と申すのじゃ?」

「確か... 即蘭眉雲峡(そくらんびうんきょう)とかいう名だったようなぁ...」

 仙花が雲峡の名を出した途端、真如が最高にびっくりしたかのようなここまで見せなかった表情に変わる。

「な!?そそそ即蘭眉雲峡様に会ったじゃとぉ!?」
 
「う、うむ。真如様、そんな顔をしていったいどうしたというのじゃ?」

 真如に応えた仙花は何をそんなに驚いているのかと不思議に思いキョトンとしていた。

「んんん、ただの『地上人』が知らぬのも無理もないじゃろうが、雲峡様と云えば、仙人の中の仙人!仙人界でもずば抜けた神通力やらなんやらお持ちの最強級のお方なのじゃよ。実はのう、儂に仙女への道を示してくれたのも雲峡様なんじゃぁ...」

「...な、なるほどのう...」

 どうやら仙花の嫌な予感は悪い方向で的中したようである。
 しかし、彼女には昨日遭遇した雲峡の姿は、お銀と同じくらいの若い年齢に見えていたのだが...

「真如様よ。雲峡、様はあれでお幾つになるのであろうか?」

「...年齢か、ううむ、確かなことは云えんがぁ、仙人界での噂では三百から五百くらいいっていたような気がするのう」

 三百から五百という一世紀か二世紀も違う超幅の広い年齢を云われ、聞いた仙花一味はなんとも云えぬ表情になっていた...

 

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