orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ8 異種族

これはもちろんお銀一人の力ではなく、上級怪異である妖狐の妖力が加わって初めて成せる業であった。 地割れが完全に埋め尽くされ、海岸沿いの道が以前の平坦だった姿を取り戻した。 と同時に全てのチャクラを使い果たしたお銀が地に膝をつく。 「ふぅぅ...…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ7 妖狐の弧浪(ようこのころう)

「いえ、力はみなぎっているくらいでございます。ただ、一つ問題がございまして...先の雲峡も厄介者でしたけれど、手前が契約を交わした妖狐もまた厄介な者ゆえ、時としてすんなりと事が運ばぬこともございます。少しばかりお待ちくださいませ...」 微笑を浮…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ6 雲峡の実力

お銀が口を開こうとするところへ割って入る雲峡。 「ううううう!こんな酷い侮辱を受けたのは多分だけれど生まれて初めてだわっ!!んも~堪忍袋の緒が切れた!覚えておきなさいよーーーーーーっ!!!」 大した堪忍を入れ得るような大きさでもなく、とっく…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ5 その名は「デイダラボッチ」

くだらぬ押し問答をするくらいならと、仙花は雲峡から視線を外してお銀の方を向く。 「お銀、無理を承知で頼むのじゃけれど、其方の忍術を使いこの地割れを修復出来んもんかのう?」 「ほほほ、手前に不可能はございませぬ。と、申し上げたいところではあり…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ4 別格仙女

一応彼の名誉のために断っておくが、彼の反応は決して大袈裟では無い。 海岸沿いの道幅は広くは無いし狭くも無く至って普通の道幅なのだけれど、一本の見通しの良いその道は、蓮左衛門が言った通り大地震でもあったかのように完全に分断されていた。 つまり…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ3 即蘭眉雲峡(そくらんびうんきょう)

「愚かなり!もう歯痒いったらありゃしないわねぇ!さっきから勿体ぶって名乗らないあなた!貴方なんかどうせ仙女か何かなんでしょうに!」 「はっ!?はいぃ!?なな何を訳の分からないことを言うかと思えば!わわ我がせせせ仙女ですってぇっ!?そそそんな…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ2 謎の女

「なぬっ!?」 女の物言いと内容に仙花は驚かずには居られなかった。 何故なら人の名に「ちゃん」付けするのを聞くのは初めてであったし、「仙人予備軍」という言葉を使うからには、少なくとも仙花の情報を得ていなければならないからである。 そしてさらに…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ1 天から降る物は

時は、どちらかと云えば中期に近い江戸時代前期後半。 主役は天下の水戸黄門として名を馳せた徳川(水戸)光圀の娘である徳川(水戸)仙花。 彼女は百鬼夜行の目撃された薩摩の地を目指し、光圀の呼び寄せた未だ謎の怪異を身体に秘める四人の従者と共に旅立…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 鬼武者討伐編 最終話

「よし、皆揃ったな...では、最後の締めを始めようか」 「「「御意!」」」 同時に三人の返事は聴こえたがもう一人の返事が足りない。仙花が返事をしない主の方を見ると、居眠り侍は我慢できなかったのか案の定爆睡中であった。 「すぴ~、すぴ~、すぴ~」 …

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ94

結局のところ、蓮左衛門と雪舟丸の二人が彼女の身を案じて屋根上まで駆けつけたものの、「鬼武者」韋駄地源蔵と彼に巣食う怪異の「鬼」を一人で討伐した仙花。 芥藻屑を片付けたことによりずっと張っていた気が一気に緩みその場に座り込む。 「儂はもうクタ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ93

「助太刀無用!儂一人でこの鬼は片付ける!元の位置へ戻り動くでないぞ!」 「えっ!?あっ!?えーーーっ!?」 明らかなる窮地に助太刀を断られた蓮左衛門が、しどろもどろになり立ち止まる。 「おっっ!?」 雪舟丸によって腰の帯を後ろへグイッと引っ張…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ92

元々感情を表現するには難しい般若顔の韋駄地の表情が、恐らくは僅かに痛みによって苦しんで見えた。 「儂はこの突き刺した剣で其方の心臓をこれより貫く。さすれば其方の命は確実に絶たれよう...何か、この世に言い遺すことは無いか?」 仙花の言った言葉は…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ91

はてさて、大悪党芥藻屑の頭領であり、鬼武者である韋駄地源蔵の残酷な過去物語にいつの間にやらどっぷり浸かってしまったけれど、その頃より六十年近くもの時が経過した今へと戻ってみようではないか... 芥藻屑の領地である蛇腹の二階建ての中央社、その屋…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ90

自己の絶体絶命の窮地に取った選択肢により姿形は変貌したものの、十三歳である源蔵の変わらぬ精神年齢からすれば、途方も無い覚悟と、厳しく険しい自らの道を呈し、父親への懇願をも含めた家族を護るための言葉だった。 我が子の決意を悟った蔵之介はただ「…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ89

源蔵に言われた紗夜は素直に従い、部屋の障子を閉め部屋の中へ入る。 韋駄地家の長女とはいえ紗夜は未だ十二歳。父、蔵之介の余りにも残酷な話しを耳にして、さらには兄が父の命を奪おうという衝撃的な場面に兄を止めたことは、奇跡に等しい行動であった。 …

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ88

「.............」 黙する源蔵は父親の言葉を受け、己がどうするべきか頭の中で急速に処理する共に吟味した。 だが複雑かつ衝撃的な父親の告白に対し、圧倒的に短い時間のあいだで、人生経験の少ない十三歳の精神年齢が簡単に良い答えが浮かぶ筈もなく、源蔵…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ87

源蔵は部屋の前を通る木張りの廊下まで静かに移動し、障子を開けずに立ち竦む。 父親に会う直前になって部屋へ入るのを躊躇ったのは、昔の記憶を含め様々な想いが頭をよぎった所為であった。 と、人影に気付いた韋駄地蔵之介が障子越しに声をかける。 「そこ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ86

大好きだった父親のあり得ない言葉に韋駄地の心は凍り愕然とする。 「ち、父上は、な、何を言っているのだ...」 韋駄地の脳内が地震を体感するかのようにグラグラと揺らぎ、目に映っていた景色が別世界の如く一変した。 もし、父親の言った文言を鵜呑みにす…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ85

韋駄地は塀の上から顔を出し庭を覗き込み、紗夜が居ないものかと探すが人影は一つも見当たらず誰も居ない... と、いつも家族団欒で食事を摂る居間の方から父の話し声が微かに聴こえた。 日本人の一日三食という習慣は江戸時代中期頃からだと云われているけれ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ84

周囲の人々から「神童」と称賛を受け、家族を始めとして誰もが将来を有望視していた少年、韋駄地源蔵は長い闘病生活を抜けたのち、名も知らぬ男に突如として襲われた命の窮地から逃れるべく、実態を持たぬ怪異であった「鬼」と躊躇せず命懸けの契約を結んで…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ83

病によって弱りきった少年を相手に傲慢な態度であった男が、突如としてあり得ない姿に豹変した少年を前におののく。 「お、お、お前のその異様な姿は一体全体何だってんだい...まるで得体の知れねぇ化け物じゃねぇか!?」 今更だけれど男の名は秤度斉次(は…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ82

突然の死刑宣告に少年の落ち込む心は更なる衝撃を受けた。 今まで一度も会ったこともない見知らぬあかの他人。どうして己がそんな輩に斬り殺されなけねればならないのか?ことの道理が全く持って分からない...少年はどん底まで沈んだ心でそう思う... どうせ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ81

江戸時代の「手鏡」とくれば「柄鏡(えかがみ)」と云う呼称の物になる。 柄鏡の素材は青銅であり、表面は錫(すず)によってメッキ加工され、綺麗に磨かれてはいたが顔がくっきりと映るような代物ではない。 そんな鏡に映る顔は多少は歪んで見えることもあ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ80

このあと紗夜は足早にその場を去り、結局のところ会話を交わしたのはそれだけである。 けれども正体不明の病を患い、一生分の辛い想いを経験した少年にとって、極めて幸福かつ十分過ぎる出来事であった。 彼女のたった一言でどれだけ絶望から救われ希望を持…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話芥藻屑との戦 ノ79

病に倒れる以前までの自分は家族に愛され、町の多くの人々にも好かれていた筈ではなかったのか? 百歩譲って町の人々がこの小屋を訪れないのはまだ分かる。だが同じ血を分けた家族が誰一人として会いに来ない理由はいったい何だというのだ? 自惚れではなく…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ78

布団の上で一日中高熱にうなされ、暑い夏の小屋の中で大量の汗を掻き酷い脱水症状に襲われる。 小屋の壁に設けられた小窓から差し入れられる料理には、食欲と体力も失われているため一切手をつけられず、誰も目にすることはないまま韋駄地は痩せ細り憔悴して…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ77

人と、得体の知れぬ怪異との非現実的な命懸けの契約。 幼き頃より「鬼」と契約したであろう韋駄地が、果たしてどういった経緯でそれを成した得たのか?それとも、自らの意思とは無関係に結んでしまったのか?いずれにしても当の本人に訊かなければ謎のままで…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ76

と、韋駄地への攻撃範囲に到達しようかという直前、仙花が高く跳躍し身体を自転させて吠える! 「烈風竜巻斬りっ!」 十六の少女が生まれて初めて繰り出した技の名は安直な名称だったが、自身の腕力に体重と遠心力を加え強烈な一撃を生み出す! 「パキィン!…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ75

気持ちを切り替えた仙花が蓮左衛門と雪舟丸の二人に背を向け、鬼武者韋駄地源蔵に声を掛ける。 「待たせて悪かったな、鬼武者よ。だが儂の気掛かりは粗方晴れた。一騎討ちを再開し決着をつけようではないか」 己より五十歳以上の歳下の少女の手前勝手な要件…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ74

「特別な怪異を身に宿す...おもしろいな」 蓮左衛門の返答に疑問に思える部分が他にもあったけれど、仙花はやはり特別な怪異」に喰い付き興味を示した。 そもそも「怪異」とはいったいどのようなものなのだろうか? 怪異という言葉は現実にはあり得ず説明の…