orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第30話 美女

「ま、まぁ、今回は人助けも兼ねて悪魔退治をしたということで許してくれても良いのではないかな?柚須灘」 「フフフ、そうねぇ。これ以上雲峡ちゃんのことを責めても利点は見つかりそうにもないしぃ、許してあげるわぁ♪」 柚須灘は冷静に考えずとも、雲峡の…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第29話 問答

そう、雲峡の不利となる発言をしてしまうわけにはいかぬと、柚須灘の詰問的な質問にガッチリと心構えしていた真如。彼女が己の意志に逆らいすんなりと口を割り、雲峡の不利になる真実を語ってしまう形となってしまったのは、柚須灘の仙術の一つ「問答無用の…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第28話 格好

求めていた通りの答えを聞いた柚須灘の顔が険しさを増す。 「ふむ、ありがとう真如、下がって良いよ。時に雲峡ちゃん、わたしに嘘をつくとはどういう困った了見なのかしら?」 追い詰められたかに見えた雲峡であったが、バレバレで不得意な嘘を続けることを…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第27話 覇気

嘘を完全に見抜いている柚須灘が意地悪く問う。 「雲峡ちゃん、消し去った悪魔の名を覚えているかしら?♪あれは只ならぬ殺気のこもった邪悪で大きな覇気だったわぁ。きっと名のある悪魔だと踏んでいるのだけれど...」 柚須灘の言葉遣いと表情は優しかったが…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第26話 亡骸

仙花に軽い感じで口止めをした柚須灘が雲峡の方へ向き直す。 「ところで雲峡ちゃん♪さっきまであった邪悪な悪魔の気配が無くなったようなのだけれど、察するに貴方が倒してくれたのよね?でも悪魔の亡骸が見当たらないわねぇ...」 「...あっ、、ああぁ。つい…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第25話 無用

「優秀な人間にして仙人候補になっている者の名は...『徳川光圀』ちゃんよぉ♪」 直接告げられた雲峡にはさして驚きの反応は見られない。だが仙花一味は皆が皆驚かずには居られなかった。 特に驚きの反応が激しかったのは、養子であるとはいえ、歴とした光圀…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第24話 変顔

「あら可愛いお顔~♪ご馳走様♪」 「ここ、この最強仙人の雲峡様を捕まえて可愛いお顔とはなんだ!」 茶化された雲峡が口にした言葉とは裏腹に、やや照れながら嬉しそうな表情を見せる。 何百年と生きている仙女に「照れる」という感情があることも驚きだが..…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第23話 苦手

兎角、柚須灘が包み隠さない好意を押しつけるものだから、当然ながら雲峡は彼女を苦手としているのである。 さらに付け加えれば、雲峡は彼女の頭の良さと美貌も苦手としていた。 300年のあいだに何十という論争を繰り広げて来た二人であったが、結果はいつも…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第22話 絶対

仙人界一の美女の柚須灘と、仙人界最強である雲峡の関係性についてもオマケ程度に触れておこう。 超優秀な二人の出会いは今より300年ほど遡らなければならず、オマケ程度とはいっても語ってしまえば仙花一味の名前を忘れてしまうくらい長くなってしまいそう…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第21話 緋澱

俄に凍りついた空気が流れる中、またもや天より若々しく元気な声が響き嫌な空気を振り払う。 「あらあらあら~♪誰かと思えば雲峡ちゃんじゃない♪相変わらず『無駄』に元気そうでよかったわぁ♪」 「スッ」と音も静かに、そして艶やかに地上へ舞い降りたるは、…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第20話 戯言

雲峡とお銀が話す隙を突き突如として地面に現れた異次元空間。 無論これは自然に起こった現象などではなく、仙人界でも亜孔雀の窮地を救った上級悪魔、空間を自在に移動する術を持つ地雷蚓(じらいず)の仕業にほかならなかった。 彼は亜孔雀の元教育者であ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第19話 空間

「かかかっ、まぁ良いわぁ寛大な心で許してあげちゃう。それよりもお主の言う通りさっさと下衆な悪魔を縛っちゃおうかなぁっと...ん!?」 雲峡が足下に視線を移すも、そこにあるはずの悪魔の身体が見当たらず絶句した。 「ぬはっ!?無いっ!?悪魔の身体が…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第18話 不埒

「...ほぉう、誰かと思えばこの間のお嬢ちゃんか...」 「おっ!?お嬢ちゃん!?」 お銀の脳裏に稲妻が走る! 二十代半ばにしてまだまだ若いとはいえ、お銀の容姿はお色気たっぷりにて抜群のプロポーションをしており、「お嬢ちゃん」などと呼ばれたのは十年…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第16話 水分

雲峡の実力をまざまざと知ることとなった仙花一味。 仙花を始めとした全員が信じられない光景を目の当たりにしてポカンとする中、這いつくばるような形で痙攣したままの亜孔雀を蔑む眼でジッと見ながら雲峡が言う。 「悪魔よ。お主は魔界三大魔王が一人、羅…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第15話 畏怖

では今しがた起こった二人の超人的動きを振り返ってみようか。 瞬間的にその場から消えたかに見えた亜孔雀だったが、決して瞬間移動して消えたわけではなく、想像を絶する脚力をもって地面を抉れるほど蹴り上げ、反動を加えた正に「目にも止まらぬ」速さで雲…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第14話 自信

仙人というのは最も神に近しい存在であり、気高く大らかな心の持ち主が大半なのだが、こと雲峡に関しては、圧倒的実力もさることながら人格的にも異端な存在であった。 人間の寿命は最長寿でも百ちょっとであるけれど、単純に仙人の寿命はその十倍以上もあり…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第13話 美貌

仙人というのは最も神に近しい存在であり、気高く大らかな心の持ち主が大半なのだが、こと雲峡に関しては、圧倒的実力もさることながら人格的にも異端な存在であった。 人間の寿命は最長寿でも百ちょっとであるけれど、単純に仙人の寿命はその十倍以上もあり…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第12話 雲峡

「グァグァグァグァッ!これはまたおもしろい。まさか人間界で現役の仙人に会えるとはな!しかも単独でのこのことよくもまぁ現れたものだ!」 亜孔雀は仙葉に乗った雲峡の姿を見るなり彼女が仙人であることを悟っていた。 なんせ過去に仙人界で暮らしていた…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第11話 天声

かつて経験したことのない脅威を前にして、仙花一味の誰もが気を張りめ一体の悪魔に集中力の全てを注ぐ。 「さて、誰から壊してやるかな...」 立つことすらままならぬ堕仙女の真如と、その身に「デイダラボッチ」という強大な怪異を潜ませるが本人自体は戦力…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第9話 復活

「奴はあっしの仲間が倒したでやんす。もう安心して良いでやんすよぉ」 「かっ、ゲホゲホッ!核までは、破壊したのえ?」 「カク?なんでやんすかそれは?」 「...に、人間で言うところの心臓部じゃ...奴はその核を破壊せんとことには復活してしまうのじゃ」…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第8話 眠気

一方では仰向けに倒れたままの蓮左衛門に近づいた雪舟丸が、面倒臭そうに彼の額に手刀を軽く当てて強制的に目覚めさせた。 「んんん...おぅ!?雪舟丸殿!敵は!?敵はどうなったでござるか!?仙花様の助太刀をしなければ!!」 気絶から目覚めたばかりだと…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第7話 愚行

刀姫こと仙花一味の中でも随一の頭脳を持ち、忍術の天才にして人を惑わすほどの美しさを兼ね備えたお銀が、九兵衛に続いて荒々しく身体を揺さぶられ目を覚まも。 「シュツ!」 と、懐中から取り出したクナイの刃先を仙花の喉元で寸止めする。 そしてボ~ッと…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第6話 一閃

「我流!絶命一閃!」 かつての戦いから鑑みて、雪舟丸が技の名を呼びながら攻撃を繰り出す姿は極稀である。 そんな男が敢えて単なる上段斬りにわざわざと名を付したのだから、気合いの度合いが半端ないと見て取れよう。 「ザン!!!!」 「ぬぅがぁっ!!…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第5話 膠着

亜孔雀の右拳が「ゴウッ!」という音を立てて仙花の脇腹を狙う! だがずば抜けた運動能力に加え身の軽い仙花は、我が身を襲わんとする拳に反応して「ヒラリ」とかわし、宝剣の鳳来極光を悪魔の頭を砕かんと上から振り下ろす! 「ガッ!キィーーーン!!」 今…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第4話 常人

「グァグァグァ!無意味な策は充分に練れたのか?」 亜孔雀が二人を小馬鹿にし、仙花が眉を歪めて睨みつける。 「黙れ化け物。愚策かどうかはその小汚い身でとくと味わうがいい」 仙花が言い返すあいだに雪舟丸が心の内で魂に宿る怪異の「阿修羅」に向けて語…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第3話 両刀

肩で息をする仙花が亜孔雀を睨みつけながら、後方の雪舟丸へ苦しそうに声をかける。 「...雪舟丸、まだ動けるか?」 「万全ではないが、大丈夫、まだ動ける...」 「よし...ならば今より儂が全力で奴を攻める。その間にお主が奴の隙を突き葬ってくれ」 「...…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第2話 本物

人生において三十代前半という年齢の雪舟丸ではあったが、その期間に命を賭した修羅場をどれほど乗り越えてきたか計り知れない。 そんな彼に「化け物」と言わしめた亜孔雀の実力は紛れもなく「本物」と云っても差し支えないであろう。 亜孔雀が雪舟丸をこの…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第1話 窮地

海沿いの峠に建てられた何処にでもあるような一軒の団子屋。 季節は梅雨を迎える直前の過ごしやすい春終盤といったところであり、この日は天気ももっぱら良く、外で出来立ての串団子を頬張るには絶好の環境であった。 だが、その心地よく長閑な環境をものの…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 プロローグ

時は安定期を迎えつつある江戸時代中期。 巨大な力を得た江戸幕府に反旗を翻すような愚か者はそうそう現れることもなく、各地方において小さな内戦こそ起こってはいたものの、群雄割拠の戦国時代とは程遠いまさに平和とも呼べる世となりつつあったのだが... …