刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第228話 洞察
はてさてはてさて。
思い返さずとも随分とまぁ物語ることを止めてしまった語り手の私めにございますけれど、無論、語ることを永久に止めてしまったわけではなく、それなりに事情があってのことでございますれば、特段の説明をする必要性も無くは無いが、やはり不必要と勝手ながら判断し、前話の続きから語ることと致しましょう...
取り分け「大工」について長く語るのは捨て置き、仙花一味が田舎のお粗末な宿屋の部屋に「雨風を凌ぐ屋根と壁」があるという点においてご満悦なところ、感の鋭い仙花を始めとして、常時警戒を怠らないくノ一のお銀と、凄腕の剣聖にして居眠り侍こと雪舟丸に関しては、この部屋から異様な、否、異様すぎる空気を感じ取っていたものである。
残念ながら三人と比して、人間離れした怪力を持つ蓮左衛門と、薬師で並の人間である九兵衛はその「異様すぎる空気」を微塵も感じ取ってはおらなんだが...
お銀と自然に目の合った仙花が口を開く。
「これは淀めに嵌められてしまったのかう?」
「...私めの洞察眼からすればぁ、淀殿は恐らく此奴らの存在には気付いておらぬかと。それに、お言葉ながら今は嵌められたかどうかは問題ではなく、此奴らにどう対処すべきかを判断すべきかと」
「うむ、そうじゃな」
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