orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第91話 試練

「なかなか肝っ玉の座った意気のいい女の童だ。だが残念。オレは人間に試練を与える仙人して暇を持て余す仙人でもある。やはり直ぐに試練を与えることは...」 「黙れ天心。偏屈者のお主にしてみれば時間があり余って仕方無かろうが儂には微塵も関係無きこと…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第90話 天心

「...まぁそう言うてくれるな小童よ。オレは元々人付き合いというものが苦手でな。だからこそこの『純真の洞穴』でたったの一人で暮らし、何十年に一度来るか来ないか分からぬような人間が訪れるのを待ち続ける役を買って出たわけだが、人とは不思議なもんで…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第89話 恐怖

遊園地のお化け屋敷を想像してみてほしい。 不気味な絵が壁に描かれ、暗い空間を淡い蛍光灯の光りが微妙故に訪問者の恐怖心を煽る。 そんな中に突如として、死神やら幽霊やらの不気味な声が響こうものなら身体が「ビクッ!」と条件反射を起こすのがオチなも…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第88話 提灯

太陽の光が差し込まない洞穴の中は、当然のことながら真っ暗闇になっており、仙花が十歩と進まぬうちに前方は全く見えなくなった。 「お銀が咄嗟に渡してくれた提灯に火を着けねばな...まったくあやつは気が効くもんじゃのう...」 洞穴内に松明の一つでも有…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第87話 洞穴

はてさて、時と場面はまたもや変り、仙花一行の物語の続きを語ることに致しましょう。 仙花一行が山道にて盲目の剣士たる「座頭市」と遭遇し、「居眠り侍」こと「雪舟丸」との真剣勝負が勃発して決着がついた日の翌日。 仙花一味と案内役の堕仙女である真如…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第86話 意識

「フフフ、光圀様のお戯れの可愛いこと♪」 「そう茶化すでない。未だかつて会ったこともない仙女...それに飛び切りの美女に膝枕をしてもらうなんぞ、この歳になるまで幾多の様々な経験を積み重ねて来たこの光圀をもってしても経験したことのない幸福感よ...…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第85話 膝枕

直後、凄まじい衝撃を受けた光圀の老体がふらっと傾き倒れそうになったところへ柚須灘が手を差し出した。 「光圀様っ!」 「っとと、儂としたことが...すまんすまん」 「いえいえ、やはりこの仙術は人間の老人にはかなり堪えるようですわねぇ...大丈夫にござ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第84話 電流

柚須灘は仙人界最強の仙女である雲峡に匹敵するほど酒には強い。 故にたかだか一席の場で呑んだ酒に酔う彼女であろうはずも無いのだが、もはや取り繕う必要を感じていないのか「登代」という人物像はとっくに消え去っていた。 そんな柚須灘の様子を眺める光…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第83話 資質

「おっと、そうそう。其方の美しさに見惚れてうっかり忘れそうになるところであったわい。して、儂が仙人になりもっと長生きをしたいという願望と、其方が儂の前に現れたこととは関係があるのかな?」 無論のこと、ここ迄の柚須灘との会話からして光圀が察し…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第82話 至極

正確な数字で表現するのは難解だけれど、常人の何倍も「肝っ玉」の座っている光圀の瞳孔が開く。 人がある事象に遭遇し、驚きを感じたときの「驚き」には数種あるだろう。 それは恐怖を感じたとき、強烈な痛みを感じたとき、不意を突かれたサプライズがあっ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第81話 半々

「...魂は存在し続ける...か。世にも珍しい仙女の言うことじゃ、恐らくは本当にそうなのかも知れんのう。じゃが、これは性分だとでも言おうか、儂は己の眼でハッキリと見たものしか信用できんのじゃ」 江戸時代において、「幽霊」や「妖怪」などの不可思議な…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第80話 回顧

互いが呑み干してカラになったおちょこに徳利から酒を注ぎ補充する。 ふぅっと溜息を一ついて光圀がしみじみと語り出す。 「登代さん、あいや柚須灘殿。儂はのう、この歳になって人生を回顧する機会が多くなっているのじゃが、若い頃より辿ってみれば儂は何…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第79話 真意

「こっこっこっ、真に仙女だとは少しばかり驚いたわい。儂はこれでも千辛万苦な人生を歩んできたが、仙女などという者には一度たりとも遭遇したことは無かったからのう…して、類稀にお美しい仙女様がこの老いぼれに何の用ががあって訪れたのか教えてくれんか…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第78話 唐突

光圀と柚須灘(登代)は縁側の廊下に並んで座り、互いのおちょこへ酒を注いで夜空を見上げた。 辺りはすっかり夜の暗さを呈していたが、満月に近い月の放つ明かりのお陰で雲の形がハッキリと分かるほどには明るかった。 季節柄、鈴虫などの虫の鳴き声は一切…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第77話 絶世

ささやかな宴会は終始光圀が中心となり、皆が大いに楽しめた場となったものである。 人生経験が稀に見る豊かさを誇る光圀と、その何倍も生き、何十倍もの知識を頭脳に宿す柚須灘(登代)の会話は実に珍しくも深い内容ばかりであった。 ムードメーカー的存在…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第76話 鹿肉

夕飯時になり西山御殿の居間では、柚須灘(登代)を歓迎してのささやかな宴会が開かれた。 食糧調達係の滝之助が狩りから持ち帰ったのは猪ではなく、野生の鹿であった。 鹿肉は肉の赤みが強いのが特徴で、脂身があまりなく、ジビエ(狩猟対象の野生の鳥獣)…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第75話 絹江

と、屋敷の方から住み込みの世話役である絹江がとことこと現れた。 「光圀様、お客様への対応が及びませんで申し訳ございません。今しがた台所の方で手が離せなかったものですから」 「こっこっこっ、そんなことは気にせずとも良い。儂はいつでも暇を持て余…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第74話 今宵

光圀の応対に柚須灘(登代)がクスクスと笑う。 「私如きの人生に興味を持っていただいき光栄に存じます。それで...厚かましいこと甚だしいとは存じますけれど、一晩泊めていただくことはぁ?...」 「心配はご無用、もちろん大丈夫じゃよ。見たところ邪気は…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第73話 屋根

忙しいのかはたまた出払っているのか、柚須灘の呼びかけに、光圀の家臣が応ずる気配がない。 柚須灘が仕方なくもう一度西山御殿へ向かって呼びかける。 「御免くださいませぇ。私めは一人で旅をしている物好きにございます。どうかどちら様か応じてはいただ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第72話 御殿

かくして、山の路上にて突発的に発生した剣の達人同士の真剣勝負は、座頭市が完敗の意思表示を行い、阿良雪舟丸の勝利という結果で幕を下ろした。 さて此処で、時を昨日に巻き戻しまして、魔界の王子である亜孔雀と仙花一味と諸々の人物が戦い終えたのち、最…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第71話 存在

座頭市が雪舟丸に軽く会釈をしてその場を立ち去ろうとして振り返る。 「あっ、そうそう。あっしとしたことが剣士殿の名を聞いておりやせんでしたぁ」 「...阿良雪舟丸だ」 「ほうほう、そりゃぁ良い名でごぜぇやすなぁ...因みに忘れてもらっても構わんのです…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第70話 長門

「その男は長門の国...あっしの旅路の途中、「鬼ヶ城」と呼ばれる山で山賊とやり合うところに偶然遭遇しやしてなぁ。あっしはほれこの通り、ほとんど目が見えないもんですが、山賊とやり合う男の姿が頭に鬼の如く浮かんだもんでして、剣気の圧倒的な凄さ己の…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第69話 玩具

「さようで。...その男はぁ、宮本殿にすら臆しなかったあっしが人生において唯一剣を交えることを避けた者でございやす」 過去、絶頂期の宮本武蔵と五分に渡りあった座頭市。 彼ほどの実力者が闘いを避けたと言うのだから、重みがあり、よほどの強さを秘めた…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第68話 納刀

「...さよう。剣士殿、まさかあっしが勝負のあいだに気づかぬとでも思っているんですかい?」 「...........」 座頭市の問いに口を閉ざしたままの雪舟丸。 「剣士殿ほどの腕前の持ち主ならば、目の不自由なあっしへの攻め方など幾らでも出来やしょうに...足…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第67話 決着

鞘で激しく突かれ、激痛の走った腹部を苦しそうに押さえる座頭市。 「くっ...くくく。こ、こりゃぁどえらい突きを喰らったもんだ。一瞬あっしの身体を突き抜けたかと思いやしたぜぇ...」 「誉められても喜ぶこと無し。あんたの突きも大したものだったがなぁ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第66話 鳩尾

現代風に言うなれば、体内にアドレナリンが分泌し、興奮状態の格闘家の恐怖心や痛覚が麻痺したような状態、敢えて登山家の言葉に置き換えれば「クライマーズ・ハイ」の如き状態だろうか... 否、人として、剣士として究極の強さを身につけた彼らにはそんなこ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第65話 高揚

初めの長く続いた膠着状態は互いの実力が知れず、斬り出せないでいた二人であったが一度剣を交えてしまえば、極めて達人たる二人はある程度相手の実力をはかり知り得たものである。 杖(鞘)による一撃をまともに受けた雪舟丸であったが、喰らう直前、身体を…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第64話 鬼神

「...喋る余裕があるとはなぁ。流石は聞きしに勝る座頭市と言ったところか...居合の速さは俺とほぼ変わらぬようだがっ!!」 「キィン!!!」 「っ!!??」 雪舟丸が言葉尻を言うと同時にほんの僅かだか一瞬力を抜いて刀を引き、もう一度刀に力を入れ座頭…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第63話 剣道

鍔迫り合い(つばぜりあい)とは、互いに相手の打った刀を自分の刀の鍔で受け止め、押し合うこと。 転じて激しい試合のこともさす。らしいが、座頭市の独特な刀に「鍔」なるものは存在しない。 よって正当なな意味での「鍔迫り合い」は成立していないのだが…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第62話 緑葉

「ビュオッ!!!」 「およっ!?」 突如として吹き荒れた突風が吹き、仙花の長い黒髪を束ねたていた紐が解けサラサラと風に揺れる。 突風の影響は周囲に生い茂る木々も当然にして揺らし、枝から生えていた緑葉を数え切れるほど撒き散らした。 空中に浮いた…