orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

僕達の世界線は永遠に変わらない [人体万能治療ポッド]

親父は立場を利用して僕の退院手続きを早々と済ませ、その日の午後に僕は退院して家に帰った。 翌朝、三人で顔を突き合わせての朝食中に親父が僕に話し掛ける。 「匡、病気の治療について説明したいんだが、今から話をしても良いか?」 自分自身の事とは言え…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい! 17〜18話

[お見合い話] 師匠が食卓に居るだけで加賀美家食卓の会話が自然と増える。これはきっと話しかけ易い人柄が影響しているのだろう... 会話をしてみないと人のことはよく分からないと云うけれど、師匠は正に典型的なそのタイプだった。 普段は仏頂面をしてい…

僕達の世界線は永遠に変わらない [豹変する世界]

時は西暦2031年の夏。 僕は見るも無残な姿で倒れかけた東京スカイツリーの上に立ち、かつて日本の首都だった東京の荒れ果てた街を眺めている。 今や日本政府は崩壊し日本、いや、世界中が危機的状況の渦中にあった。 一年ほど前の人類は、2020年に突如として…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい![六人の食卓]

いつもお風呂に入るタイミングは剣の鍛錬で汗を掻いた直後になる。 身体の汚れを洗い流したあと、湯船に浸かって一日の疲れを癒やす。 癖になってしまったのか、わたしは湯船に浸かっている時に独り言を呟くことが多い。 「まさか、師匠が三ヶ月やそこらで帰…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい! 14〜15話

[沖田総司と加賀美京子] お風呂組の二人が並んで歩き道場を出て行く。 後ろからそれを眺めていると、真琴さんが頬を赤らめながら師匠に話しかけている。 恋する乙女は好きな人と言葉を交わす時、あんなに無防備で嬉しそうな顔をするんだなぁ。幸せそう... …

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい! 12〜13話

[別の意味で飛び交うハート] 「司よ。今のはかなり惜しかった。流石の俺もヒヤリとしたぞ」 普段は余り人を褒めない人が褒めてくれたけど、汗一つ掻いていない冷んやりした表情で言われてもなぁ... 嗚呼...また負けてしまった。 褒められた喜びより負けた…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい! [剣の稽古]

師匠の剣の流派は[真奏流](しんかなでりゅう)。 元々はわたしの実の父である沖田総司と同じ[天然理心流]だっけれど、20代半ばに自己流を研鑽して真奏流を生み出したらしい。 名称の由来が気になり、なぜ頭に「真」と入れたのか訊いてみたところ、「な…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい! [だらしない男]

「その帰ってきた理由は聞かなかったことにしておきます!わたしの家族には別の都合があって帰ったことにしてください。特に真琴さんには」 家族に事実をそのまま伝えてしまえば、いくら師匠がわたしの家族と親密な間柄であろうと、流石に軽蔑されるかも知れ…

やしあか動物園の妖しい日常 89〜第一部最終話

[猫と話す条件] 「ご馳走様でしたって!お風呂に入って来るね!」 急いで夕食を済ませ魔女秘伝の入浴剤入りのお風呂に浸かる。 「はぁ~、良い気持ち~生き返るわぁ」 今日も色々あって思いのほか疲れていた身体が、暖かいお湯と魔女秘伝の入浴剤の効果で…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい![奏十四郎(かなでとうしろう)]

お茶を飲んだあとは、10歳の頃から今日まで一日足りとも欠かした事のない剣の修行が待っている。 道場を建てる前は屋敷の外にある庭で行い、雨の日は部屋の中で出来る限りの修練を重ねて来た。 わたしが剣の道を極めたいと想い始めたのは9歳の時...あれはつ…

やしあか動物園の妖しい日常 86〜88話

[イメージが変わる] 「謝らなくても良いですよワッパさん。僕らは全然気にしていませんから。ね、紗理っち」 「もちろんです。ワッパさんの妙薬があったからリンさんやわたしの体調が良くなったんですから」 わたしと久慈さんがそう言うと、ワッパさんの表…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい! [千代古齢糖]

今朝の死にそうになった一件は忘れない。絶対に念押ししておかなければ。 「伊達さん、帰りはくれぐれも普通の速さでお願いしますね!」 「へへへ、わかってますって~お嬢様!じゃあ、しっかり掴まっててくださいよ~!」 本当に分かってくれているの?この…

やしあか動物園の妖しい日常 83〜85話

[やしあか農園] 保管倉庫を出て本日最後の給餌まで済ませた頃には日が暮れ始めていた。 事務所へ向かう戻り道の途中で、久慈さんにやしあか農園について訊いてみる。 「あの、昼休みに園長から訊いたやしあか農園なんですけど、何処にあるのか知ってます?…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい![学校生活]

午前中の授業が終わり昼食時間になると、決まって恒例の弁当行事が始まる。 「宝城さんのお弁当はいつ見ても豪華ですわね~」 「オホホホ、そうかしらぁ。わたしはそうは思ってないのだけれどぉ。そう言う花山さんのお弁当も勝る素晴らしく豪華ですわねぇ」 …

やしあか動物園の妖しい日常 80〜82話

[唐揚げ&餃子&豚汁] 「ご馳走様」 わたし達が日替わり定食を食べ始める前に、普段は表情の変化に乏しい園長が満足そうな顔をして天ぷら定食を食べ終わった。 「わたしは用事があるので先に失礼しますよ」 「あ、はい。ワッパさんの件はありがとうございま…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい! [花ヶ崎女学校]

「ドドドドドドドド!」 「きゃぁぁぁぁぁ!」 前略、お祖父様。伊達さんの人力車をひくスピードが半端なくて泣きそです。このままだと天国に行ってしまうかも知れません。 必死に人力車に掴まっているけれど、気を抜いたら一瞬で降り落とされそう。 馬です…

やしあか動物園の妖しい日常 77〜79話

[不自然に動く水草] 担当動物コーナーから事務所までの道を歩くと、右手に一つの小さな池が見える。 その池の前を通る際にふと[河童の妙薬]のことを思い出した。 「久慈さん、池掃除担当の河童のワッパさんて確か園内のどこかの池にいるんでしたよね?」…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい! [俥夫の伊達さん]

「司様~!そろそろ起きて朝食を召し上がった方がよろしいかとぉ!」 真琴さんがドアの向こう側からわたしに呼び掛ける。 「ん...もう朝なのね...でももう少し...」 布団の中の心地よさに二度寝を決めこうもうとするわたし。 「司様~!今日は学校に行く日で…

やしあか動物園の妖しい日常 74〜76話

[副園長で天狗のグテンさん] 「おはようございます!久慈さん!」 「...おはよう紗理っちぃ。休み明けだというのに元気だねぇ」 そう言う久慈さんは顔色も悪く少し元気が無いように見える。 もうすぐ朝礼があるから終わった後ででも何かあったのか訊いてみ…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい! [大好きなお祖父様]

と大袈裟な言い方をしてしまったけれど、わたしは現在家族揃っての厳かな食事の真っ只中。 黒川家の食事の序盤はいつも静かなもので、皆黙ってナイフとフォークを動かしカチャカチャと皿に触れる音だけが食卓に響く。 この黙って食事を摂る行為がわたしには…

やしあか動物園の妖しい日常 71〜73話

[猫の名は] 「お母さん!子猫!子猫がどこに居るか知らない!?」 ダイニングキッチンに駆け込み直ぐに訊いた。「何をそんなに慌てているのよ。ほら、お父さんを見てみなさい」「ん!?」 父を見ると、子猫を腕に包み込むように抱き哺乳瓶でミルクを与えて…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい! [文明開化の時代に生きる]

「梅小路様の件は本当に申し訳ありませんでした。司様」 使用人の真琴さんは20歳。清楚でなかなかの美人さん。どちらかと言うとわたしと正反対のタイプかな... 歳下のわたしに立場上敬語を使ってくれている。 「良いですよ真琴さん。もうあの方に関しては半…

やしあか動物園の妖しい日常 68〜70話

[子猫のよちよち歩き] 定食屋を出たあとは特に何がしたいという訳でもなかったので家に帰ることにした。 「はぅ~、こんな筈じゃ無かったんだけどなぁ」 自転車のペダルを漕ぎながら手ぶらの自分を嘆いてボヤく。 河原を通ると川の水がキラキラと輝いて見…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい!

[梅小路悟(うめこうじさとる)様] 「司様~!梅小路様がいらっしゃいました~」 使用人の安達真琴(あだちまこと)さんが梅小路悟(うめこうじさとる)様を連れて来た。 年齢22歳の貴族であるこのお方の見た目は気品があり、容姿も淡麗と言って差し支えな…

運命の人は何処にいるのだろうか

[暗い山道で] 「凪、暫く寝てて良いぞ」 コイツが幼い僕を寝かそうとする。 「...うん」 ファミレスで食べたハンバーグは大人サイズで腹がいっぱいになり眠くなっていたのだろう。幼い僕は10分と掛からず助手席で熟睡を始めた。 コイツは車内のラジオをつ…

やしあか動物園の妖しい日常 65〜67話

[猫を飼いたい] 皿洗いの手伝いを終えて、ニ階の自分の部屋のベッドに寝転んだ。 ダラダラとスマホでネットニュースをを見ながら独り言を呟く。 「明日は休みだけどな~んにも予定入って無いんだよな~」 そう、明日はやしあか動物園に勤めてから初めての…

沖田総司の忘れ形見は最高の恋がしたい!

時は18XX年4月、文明開化の真っ只中。 「きぃえいっ!」 たった今、婚約希望の挑戦者を木刀一閃で負かしてやったところだ。 「ま、参りました!出直して来ます!」 「別に出直す必要は無いですよ。あなたではわたしに一生勝てませんから」 どこやらの御曹司…

運命の人は何処にいるのだろうか

[沈黙する親子] 「いやだ」と否定する言葉に対し、普段なら怒りをあらわにするコイツが首を振って薄い笑みを浮かべている。 「凪、殴られたくなかったら出て来て一緒に外へ出るんだ」 最初よりも穏やかな言い方で再度呼び掛けた。 「.........」 一時の沈…

やしあか動物園の妖しい日常 62〜64話

[元気づける] 外のベンチにアズキさんがちょこんと座り、約束通り待っていてくれた。 「お待たせしました。アズキさん」 「ううん、全然大丈夫」 わたしはアズキさんの横に座ったけれど、黙っているので暫く沈黙に付き合う。 事務所のある場所は小高い丘の…

運命の人は何処にいるのだろうか 2〜3話

[アイツが変わってしまった日] アイツはこの六畳の狭い居間で、たまに仕事で外に出ている時以外は、いつもテレビや新聞を読みながら酒を呑んではくだを巻いていた。 僕はそれを見るのも聞くのも嫌で嫌で仕方が無くて、隣の寝室でずっと一人で遊んでいた。 …