orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第179話 眉唾

確かである。 仙花が蛇朱喃に己が普通の人間であるか否かなど説明した場面など一度も無いし、己が仙人に覚醒した人物であることをわざわざ説明する必要も義理無い。 思わぬところで濡れ衣を着せられた仙花であったけれど、蛇朱喃の言葉に動揺することなど微…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第178話 恩恵

敵の攻撃に対し超人的な反応を示した仙花の跳躍は、これもまた常人的な高さまで跳び蛇朱喃の頭を越え、10m以上の高度を叩き出したものである。 この現象は仙花が人間から仙人へと覚醒した恩恵であり、得たものは仙力ばかりでなく、人間であったときの何倍も…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第177話 跳躍

などと言っているうちに仙花の剣によって切り裂かれた蛇朱喃の傷口が、あろうことかみるみるうちに塞がっていく。 仙花の後方に構えているお銀が呟く。 「怪異であるとはいえ凄まじいほどの回復能力...」 そう、蛇朱喃には巨大で強靭な肉体、俊敏な動きに加…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第176話 不埒

だが蛇朱喃が仙花の動きに慌てて反応し身体を反らしたため、鳳来極光の刃は狙っていた急所であろう標的の頭部には届かず、人の形を留めた身体を切り裂くに留まった。 「ウッィッ!?」 致命傷とはならずとも、体の一部を切り裂かれた蛇朱喃が言葉にならぬ呻…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第174話 相手

「いたしかたございませんねぇ。では仙花様、此奴の相手を譲りますがくれぐれも油断無きよう」 「勿論じゃ。寝ている雪舟丸は別として蓮左衛門に九兵衛、お主らも一切の手出しは無用じゃからな」 ここまで終始黙っていた蓮左衛門と九兵衛が言葉を返す。 「拙…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第173話 巨大

「口先だけではなく図体もやたらとでかいものだな。化け物、貴様がどれほどの強さかは知らぬが我らを見くびるでないぞ」 お銀は蛇朱喃の巨大な身体にも一切臆することもなく、闘志を燃してそう言い放った。 と、お銀の肩を仙花が軽く叩く。 「お銀よ。此奴の…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第172話 驚嘆

女の皮はさも蛇が脱皮するかの如く薄っぺらなこのとなり、人の形をある程度残してはいるもののもはやこの世の生物とは思えぬ真の姿を現した。 その姿を形容するならばトカゲ、否、大蛇と言った方が近しく、途轍もなく大きな蛇の身体の先端に人の上半身が繋ぎ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第171話 戯言

女が生気を無くした不気味な顔を微妙に動かし、口角が人としてあり得ない角度で上がり口を開く。 「ゲゲゲ。貴様ら儂が人間でないことを見破るとは只者ではないな」 女は一般人の出すそれとは随分と程遠い耳に響く声を出した。 対応するは手裏剣を構えたまま…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第171話 焦点

女はの見栄えは20代前半といったところだろうか、恐らく素の状態であれば男の目を惹くことなど容易い美貌の持ち主であろう。 だが女の様子は些かおかしいと言わざるを得ない。 何故なら、目の焦点が絶えることなく動き回り焦点が定まっていない上、口からは…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第170話 警戒

すると、人気(ひとけ)が全く感じられない不始末村の中央の道に、人間と思わしき一人の女がヨタヨタとゆっくり歩きながら仙花一味の方へ向かって来るのが見えた。 一味の中で最も視力の良い仙花が歩みを止めた理由は、正にこの女の姿を誰よりも早く見つけた…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第169話 散乱

「何故じゃ!?何故にお銀は人の幸せな気分をぶち壊しすようなことを言ってくれるのじゃ!?」 むくれる仙花を収めようとお銀が口を開く。 「仙花様、そう怒らないでおくんなまし、注意深く見れば直ぐに分かることでありますゆえ...」 仙花一味の目に映って…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第168話 余儀

そんなたわいも無い会話をしながら長閑な道中を歩き、仙花一味は「怪異の国」と化した不始末村の領域に足を踏み入れた。 「やっと人気(ひとけ)のありそう場所にたどり着いたな。今宵は野宿をせんで済みそうじゃわい」 ここ二、三日、宿の取れぬ状況が続き…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第166話 一刀

会話に名前の出て来た当人の居眠り侍こと雪舟丸。聴こえているのか否か、相変わらず歩きながら寝ているその様は微塵も変わらなかった。 代わりにその前を歩く薬師の九兵衛が口を開く。 「ありゃぁ、寝ていて全く戦意がない雪舟丸殿に殺意を持って襲いかかっ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第165話 退屈

語り手たる私めの不甲斐なさにより、主人公が登場しなくなってはや1ヶ月以上経ってしまいましたけれども、ようやく彼女達を登場させ語ることと相成りました。 時は主人公の少女、天真爛漫な「仙花」が仙女への覚醒を果たしてから約2週間が経過したところにご…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第164話 知能

死ぬには若すぎる少女の椿を殺し、身体を乗っ取り彼女の家族をも立ち所に殺してしまった呪いの怪異である姚紅。 世に存在する多くの怪異達は夜に行動するのだが、この姚紅は人の身体を媒体として行動するため日夜関係なく活動することができる。 長き年月を…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第163話 式神

城の者達を喰らい尽くしても尚足りぬ姚紅が向かった先は、人の多く住む城下町である。 城下町の人々も城の者達と同じように喰らわれてしまうかと思いきや、予想に反して残虐非道な行いが続行されることは無かった。 何故なら、この城下町をたまたま通りかか…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第162話 実体

さて、桐子はどのようにして城の者達に残酷な結末を迎えさせたのか。 その要因は清兵とトキが町で見知らぬ商人から手に入れ、椿を喜ばそうと渡した女の人形に秘められていたものと同じである。 桐子は刹乃の憎悪から生み出した呪いの怪異である姚紅は、この…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第162話 桐子

姫君の殺害計画という途方もない重罪を犯した刹乃であったが、城主の後妻であったがゆえ死刑を免れ、拷問を受ける程度で済んだとはいえ身体は傷だらけになり哀れなものであった。 刹乃は足を引き摺りながらも何とか里帰りを果たし、実家に着くや否や母親を探…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第161話 呪術

だが恐ろしくも姫君を密かに殺害しようとまでした継母が、企みが失敗した上、拷問を受けた後に実の娘と引き離されるという城主の仕打ちに対し、何も仕返しをせずただ黙って済ます筈もなかった。 ところで突然ではあるけれど、語り手たる私の我儘を一つ発動さ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第160話 継母

実のところ、この姫君が病弱な体質であることには理由があった。 彼女の母親は、彼女を出産すると同時に命を落としてしまい、城主である父親はすぐに新しい妻をつくったものである。 つまり姫君の育ての親は実の母親ではなく継母に当たり、この継母が原因で…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第159話 土佐

人生とは儚くも奇なり。 貧乏ながらも家族全員が協力し、それなりに幸福感を味わいながら生活していた清兵、トキ、椿、梵の四人家族。 まさかたった一晩にして家族四人の全員が命を落とそうとは... その惨劇を引き起こした呪いの怪異、姚紅がいったいどのよ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第158話 惨殺

死に際に絶叫すらあげられなかった頭の無い清兵の身体が布団の上に倒れ込み、噛みちぎられた首から溢れる血によって布団は瞬く間に真っ赤に染まった。 「うわぁーーーーん!!」 突然大きな泣き声をあげたのは他でもない、緒方家でたった一人生き残っている…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第157話 愛娘

「おや、まぁ、この女の旦那がやっとお目覚めのようだ。悪く思ってもらって構わないがあんたの妻はあたしが喰っちまったよ」 清兵は決して気弱な臆病者などではなかったけれど、頭を失った哀れなトキの身体と、中身こそ姚紅である愛娘の恐ろしい姿を目の当た…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第156話 抵抗

愛する我が子を心配してトキが声をかける。 「立ったまま夢でも見ているのかねこの子は...椿、目を覚まして気をしっかり持ちなさい」 姿形は椿であれど、中身は怪異である姚紅が返す。 「だから言ったであろう。あんたの可愛い可愛い娘はもうこの世にはいな…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第155話 姚紅

僅かに身体の温もりは残っているものの、微動だにせず死人と化してしまった椿の胸に手を添える女。 その手を押し付けて言葉を吐く。 「さて、極上の身体をいただくとしようかねぇ...」 女の手は椿の身体にズブズブと溶け込むように入って行き、一分とかから…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第154話 呼吸

椿は声を出すことが叶わないと悟ると、清兵とトキに助けを求めるべく必死で首を横に傾けようとするが、ぴくりとも意思通りに動いてくれない。 それもそのはず、原因は現段階では不明であったが彼女の身体はいわゆる「金縛り状態に陥っていたのである。 「ク…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第153話 朦朧

大晦日という一年の締めくくりの日を越え、新年を最高の形で迎えられた清兵一家の四人は、並んだ二つの布団ですやすやと眠っていた。 否、貰った女の人形を抱き抱えたまま眠っている椿だけは、冷や汗をかきつつ苦しそうにしていた。 どうやら彼女は悪夢にう…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 新年

皆様、無事に年が明けましておめでとうございます。 清兵一家に今後訪れるであろう災難物語は、この元旦というおめでたい日に相応しく無いと思い至り、語ることを控えさせていただきました。 それはさておき、皆様にとって2023年が素晴らしい年となりますよ…