orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第60話 消耗

「...にしても、ちと長すぎるのではないか?」 仙花が横に立つお銀にボヤいた。 それもそのはず、雪舟丸と座頭市が互いの間合いに入り、動かなくなってからかれこれ現代の時間にして15分近くも流れている。 開かれる大会にもよるのだが、現代剣道の試合では…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第59話 抜刀

居合抜きは武術の居合術が見せ物化したもの。 太平の時代に武術一般が見せ物化したなかで、長い刀を気合いとともに抜き放つ居合抜きがことに人気を集め、寛文(かんぶん)(1661~1673)ごろから浪人者によって始められたようである。 他にも室町時代から始ま…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第58話 剣速

天下無敵の最強剣士を志す居眠り侍」こと阿良雪舟丸と、過去に全盛期を迎えていた宮本武蔵と互角に渡りあったと云われる座頭市。 現時点での最強剣士を決する一対一の闘いは斯くして始まったのであった。 互いが刀の鞘に手を添え、居合い抜きの構えを取る。 …

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第57話 存分

「...こりゃぁ『馬鹿』がつくほど真の剣士殿だ。あっしにとっては無益な腕試しなんぞ、とんと興味はございやせんがぁ...剣士殿は引き下がってくれそうにもございやせんなぁ...」 「無論だ。剣に生涯を捧げる者として、このような千載一遇の機会を捨てたとあ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第56話 覚悟

だが雪舟丸は座頭市に集中してお銀の癇癪など気にも止めない。 座頭市が身構えた雪舟丸に対し真剣な表情をして言う。 「武士?否、『剣士』殿。そのような凄みのある剣気を向けられては、此方としても剣を抜かざるを得ないのだが...あっしとの果し合いでもご…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第55話 眉間

束の間に仙花一味の演技力の無さが露呈したわけだけれど、そんなことはお構い無しに座頭市との距離は更に縮まり、いよいよもってもってすれ違おうとしてしていた。 ここまで来ればもはやヒソヒソと話すわけにもいかず、平静を保つお銀と、居眠りをして歩き続…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第54話 口笛

そしてマイペースにゆっくり歩いていた座頭市が、蓮左衞門や九兵衛の肉眼でもハッキリと確認出来る位置まで近づく。 お銀に言われたことを実践しようと、蓮左衛門がやり慣れていない下手くそな口笛を吹き始め、九兵衛が右手と右足、左手と左足を同時に前へ出…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第53話 興味

以前にも物語の中でお銀が忍者としての任務の途中、たまたま座頭市が数人の武者達と斬り合いをする場面に出会し、座頭市の人間離れした強さをまざまざと感じたものである。 その余りにも特徴的な風貌と、鬼神の如き強さを目の当たりにしたお銀の頭から座頭市…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第52話 真似

手の指を丸め望遠鏡の真似事をしながら仙花が呟く。 「皆の者、遠くの前方に怪しい人影があるのじゃが、儂の他に見える者はおるか?」 仙花の言葉を聞いて寝て歩く雪舟丸以外の者たちが彼女の視線の先を注視する。 「んん、拙者にはとんと見えんでござるなぁ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第51話 座頭

言葉はを選ばす述べるとするならば、男は見るからに不衛生な格好を成しており、まるで乞食の如き姿をして歩いていた。 男の名は「座頭(ざとう)」の「市(いち)。彼を知るもの達は「座頭市」と呼んでいる。 座頭(ざとう)は、江戸期における盲人の階級の…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第50話 日常

さてはて、真如が何年生きているのかは過去を振り返り計算するのは面倒くさいものである。 「語り手」としての日常はあれやこれやで忙しいことこの上ない訳でして、今まで語り綴ったものを検索する暇も惜しいと思う次第。 とはいえ、この「世直し道中ひざく…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第49話 水筒

平坦だった道のりにおいてはこれといった日陰が無く、暑さも未だそれほど厳しくない太陽の光を浴びつつ、春の名残りを若干感じなる丁度良い陽気であった。 しかし山道へ入ると、否、森の道といった方がしっくりとくるようなこの細道は、周囲に生い茂る中々に…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 強者

さて、真如にとっては久しい旅と相なったわけでだけれど、仙花一味にしてみれば旅の目的地は変わらず出雲の国であり、なんら改めて心構えなどをする必要も無い。 天候は昨日にもまして晴れやかにして良好。 道中は旅の始まりから馬や籠を使わない「ひざくり…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第47話 道具

こうして、山奥にひっそりと建つ一軒家での宴の夜が終わり、生きてさえいれば誰にでも訪れる新しい朝を迎えた。 仙花一味と真如の各々が旅支度を済ませ、真如が最後の戸締まりをする。 現代において戸締まりとくれば「鍵」を掛けるのは当たり前である。 しか…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第45話 大勢

タレの染み込んだ鰻の蒲焼きに白い飯、それに加えて美味い酒があり、つまみとして真如が準備していたのは串に刺さった「ナスの田楽」であった。 これだけ揃えば食と酒が進むのは間違いないであろう。 細やかな宴会が始まって間も無く、大量にあった鰻の蒲焼…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第44話 徳利

お銀が微笑して応じる。 「お任せあれ、魚を捌くのは得意でございますゆえ」 鰻は他の魚類と比べ姿形が異質であるけれど、海と川の両方で生きられる立派な魚類である。 「すべて蒲焼きにするつもりじゃからよろしく頼むぞい」 「承知しました」 そこらはお銀…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第43話 貴重

仙花がそう言い終えるのとほぼ同時に、きっちりと閉まっていた家の入り口の戸が突然開き。 「皆の衆!すっかり待たせてしまったのう。じゃが見てみい!川に仕掛けておいた罠に鰻がたいそうな数がかかっておったぞ!」 汗だくになった真如がさも嬉しそうに大…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第42話 馳走

つまり、己が弱いことを素直に認めている九兵衛は別としてた他の四人は、簡単に云ってしまえば否応なく「挫折」を味わされていたのである。 「...にしてもじゃ、悪魔の奴めは強かったのう...」 暫く流れていた沈黙の時間を破ったのは、一味の首領であり、最…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第41話 薬缶

囲炉裏の薪木が「パチパチ」と音を立て燃え盛り、天井に備わる火棚から伸びる自在鉤(じざいかぎ)の先に吊るされた鉄やかんを温める。 また唐突なもの云いをしてしまうけれど、日本語の「やかん」は、漢方薬を煎じるために使用されていた薬鑵(やくくわん)…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第40話 急須

蓮左衛門がかまちのそばにあった薪を拾い上げ、灰が舞ってしまわぬよう気をつけ、そっと囲炉裏の底に置く。 「さて、火はどうやって点けるかな...」 普段の生活上で囲炉裏を使用しているのなら、付近に火点け道具の一つでもあって然るべきなのだが、部屋中を…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第39話 綺麗

お世辞にも綺麗とは言い難い家の外観に比べ、中の方は真如が言っていた通りに「綺麗」なものであった。 江戸時代の平民の家というものは、ほとんどが煤や埃が床や壁を汚し、「綺麗」と呼べるようなものではなかったが、真如の家の中にはその煤や埃による汚れ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第38話 怒気

「お主ら、美味い飯も酒もどうやらいらんらしいのう」 堕仙女になってしまったとはいえ、仙人だった頃の力が僅かながら残っている真如。そんな彼女が凄みを効かせて怒気をあらわにし、仙花一味は揃って気圧された。 「悪かった悪かった。背に腹は変えられん…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第37話 時間

江戸時代の時刻の概念は、2022年におけるものとは少しどころか多いに違ったらしい。 ではどのように異なるのか。 「正午」と「深夜」をそれぞれ「九つ」として、そこから「八つ、七つ、六つ、五つ、四つ」と一刻ずつ減っていくという数え方で、このうち、夜…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第36話 面目

「あいも変わらずダメダメじゃのう九兵衛。儂らの旅が始まって既に一ヶ月以上の経つというのに、お主はなかなか体力がつかんもんじゃなぁ」 「め、面目無いでやんす...しかしながらこればっかりはどうにもこうにもいかない次第でやんして...」 仙花に言われ…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第35話 体力

場に残った仙花一味と真如はというと... 亜孔雀との戦闘において皆が皆それなり手負いとなっていたため、近くの森の中にあるという真如の住まいへ赴くことと相なった。 仙花一味が真如の先導によって草木の生い茂った森の中へ足を踏み入れる。 「し、真如殿.…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第34話 不意

「若返りの神水...そんなものが存在するのですか...」 仙人界に住んでいた経験のある真如さえ知らなかった様子。 ホケッとしている真如の横から不意に雲峡が口を挟む。 「おいおい柚須灘。あれは誰しもが容易く口にできる代物ではなかろう。妙なことを真如に…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第33話 神水

柚須灘が真如に近づき自信満々の美笑(びしょう)を披露する。 「柚須灘様、おっ、可笑しな質問をするようですがよろしいでしょうか?」 「あら♪遠慮はいらないわぁ、どうぞ♪」 「もっ、もし仙女に戻ることが叶ったなら、その時は身体も若返るなんてことは?…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第32話純真

「フフフ、そんな予定があったとは露知らず、ごめんなさいねぇ♪じゃあ細やかながらお手伝いさせてもらおうかしら♪」 柚須灘のご機嫌は何故だかすこぶる良い。仙花という逸材を目の当たりにして嬉しいのか、笑みを絶やさず話し続ける。 「真如ちゃん♪」 「は…

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第31話 薩摩

「わたしの『曇りなき心の眼』で拝見したところ、貴方の身体には希少な仙骨と仙血が備わっているのだけれど...そうねぇ、まどろっこしい言い回しは省いて単刀直入に言っちゃうわねぇ♪貴方、仙女になりなさいなぁ♪」 柚須灘の想定外な勧めに一瞬だけ怯んだ仙…