刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第226話 劣化
腹を空かせ疲労の溜まる仙花一味が、宿屋を一人で切り盛りする女である淀に案内された部屋は、襖を初めとした腰掛けなどの備品の劣化が激しく、まるで部屋の中を台風が通り過ぎたかのように酷い有り様であった。
部屋はちゃぶ台に立てられた二本のか細いロウソクによって灯されてはいたけれど、隅々まで明かりが行き届くことはなく、その薄暗さが否応無く部屋の不気味さを醸し出す。
だが、ここ一週間ほどを野宿で過ごして来た仙花一味にとっては、見上げれば屋根があり、風をしのぐ壁があるだけでも有り難いと感じるだけに、部屋の不気味さなどどうでも良いことである。
「やはり外と違って部屋の中はどうにもこうにも気が落ち着くもんじゃのう...」
しみじみと現状の気持ちを述べる仙花であった。
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