orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

僕達の世界線は永遠に変わらない [猫かよ!?]

アジトのシェルターがある結月の家は、住宅街のほぼ中央に位置している。 僕達三人は、僕の家がある東へ向かい、別の三人は逆方向の西、ソロで行動する飛鳥井さんは北へそれぞれ向かった。 天気は昨日のピーカン照りとは違い雨の降りそうな曇り空。 車の走っ…

夢中の少女 [警察沙汰!?]

僕は目の前の炭酸ジュースが入った瓶を取りグラスに注ぐ。 いつも夕飯時になるとビールを呑む父が湯呑みにお茶を注いでいた。 きっと、何かあった時のために備えているのだろう... 美味しそうなご馳走様を前にして、なかなか食べ始めない僕を見て父が言う。 …

僕達の世界線は永遠に変わらない [カラスの王]

飛鳥井んが続けて話す。 「願わくば今日一日であいつらを殲滅したい。だからチームを三組に分けて行動してもらう。まず一組目だが、八神さん、匡、結月ちゃんの三人だ。んで二組目が柴門、葵さん、美琴さんの三人。最後に飛び抜けた機動力を活かしたいから俺…

夢中の少女 [吉報無し]

急激に食欲が失せ冷蔵庫から何も取らずにドアを閉めた。 テーブル上のザルに盛られたみかんを一つだけ握り、台所を出て冷たい廊下を歩き居間へ戻る。 それからは、こたつに入って何となくテレビを視ていたのだけれど、母のことが気になり内容が全く頭に入っ…

僕達の世界線は永遠に変わらない [邪魔な奴らをやっつけてこの住宅街を支配しようぜ大作戦]

結局、葵さんの絶叫により柴門さん以外の全員が眠りから目を覚ます。 しかし、昨夜の葵さんと柴門さんの一件を鮮明に覚えていたのは僕だけだったらしく、仕方が無いので可能な限り柴門さんが悪者にならないよう葵さんに説明した。 「な~んだ。そんなことが…

夢中の少女 [冷蔵庫の中には...」

「うん...分かった。父さんの言う通りにするよ」 本当は一緒に外へ出て母を探したかった。だけど、誰も居ない家に母が帰ることがあれば心配するかも知れない。そう考え父の言うことを素直に聞くことにした。 「よし、良い子だ」 父は僕の頭を強めに撫でたあ…

僕達の世界線は永遠に変わらない [寝起きの騒動]

これで僕以外の全員が寝てしまったことになる。 さて、どうしたものかな... とりあえず、椅子に掛かっている誰の物か分からない黒のウィンドブレーカーを手に取り、小さなイビキを掻き出した八神さんの背中に被せてあげた。 その直ぐあと、急激に身体が重く…

夢中の少女 [居なくなった母]

映画のあれって、怒りの感情を特別なパワーに変えて相手にぶつけるようなものだったか?...確か悪役を突き飛ばしたり物を弾くシーンだったような... まぁ映画通りに行くわけは無いのだが、なにかしらのヒントにはなるかも知れないし... ...しまった!? 考え…

僕達の世界線は永遠に変わらない [真空崩壊という現象]

僕のような青二才が年上の人に言うのは失礼かなと思いつつ言ってみたのだが... 八神さんは怒ることなく、右手の指を眉間に当てながら苦笑していた。 「ククク...だよな。君のような少年でもやっぱりそう思うよね」 こちらを向かずにそう言った八神さんが、ビ…

夢中の少女 [ホワイトクリスマス]

日にちが判明しない... もし、あの日だったらどうしよう...という焦りが突き上げる。 あの日は雪が降り積もり、小学生だった僕はこの雪を使って友達とどんな遊びをしようか、などとはしゃいでいたような記憶が残っていた。 小走りで母が現れ、こたつの上にあ…

僕達の世界線は永遠に変わらない [ご就寝]

「ありゃん♪二人仲良く寝ちゃったわねぇ♪」 普段はクールな女性であろう美琴さんが二人のそばに寄り、背中を人差し指でツンツンしながら楽しそうにそう言った。 「いや、片方の人は寝てるんじゃなくて気絶してるんですけど...」 当然の如く僕のツッコミは完…

夢中の少女 [思い出す]

「...うん」 「凪くんとね...」 男の人は僕の名前を言ったっきり、言葉に詰まっているようだった。 横に座った女の人が見兼ねて話す。 「この人と、わたしと、貴方は、これから三人で一緒に暮らそうと想うのだけれど、凪くんはそれでも大丈夫かな?小さいな…

僕達の世界線は永遠に変わらない [鉄の錬金術]

「きゃ~♪何やってんのよあの人~♪」 葵さんが暴発寸前の柴門さんを見たにも関わらず、緊迫感など微塵も感じさせない調子でそう言った。 「待って~♪わたしのサイコなんちゃらであれを封じ込めてやるわぁ~♪」 続いて緊張感が皆無の美琴さんによる大言壮語。…

夢中の少女 [ホットミルク]

話が飛び飛びになってしまうけれど、僕が実の父親と馬小屋の前で別れたあとの話をここらでしておこう... 場面は再び幼い僕の頃に戻る... 実の父親から背中を押された僕は、暗い山道を懐中電灯で足元を照らしながら必至に歩いた。 ようやく辿り着いた家からは…

夢中の少女 [僕の住む家]

そして僕の意識は途切れた。 どれくらいの時が経ったのだろう... 五感の全てが働かない無の状態から意識が戻り、回転の遅い思考が始まる。 瞼を緩やかに開けても、最初はぼやけてほとんど何も見えなかったけれど、目をパチパチ動かすと徐々に鮮明な景色が広…

僕達の世界線は永遠に変わらない [サイコキネシス!?]

暫くのあいだ同じ姿勢で黙ったまま掌をかざし、「ふぅっ」と溜息を一つついて手を退ける。 「ふふ~ん♪彼女はこれで大丈夫よ~。おっと、この治癒能力については詳しく訊かないでねぇ♪このあいだ覚醒したばかりでわたしもよく分かってないから~♪」 げっ!?…

夢中の少女 8〜9話

[光球再び] 「くっ...そ」 止められなかった悔しさで、汚い言葉が口から勝手に出て来る。 気付けば僕の目から涙が溢れていた... 父親のために流す涙があったのか... 僕は暫くのあいだ宙に浮き、呆然としたまま実の父親への様々な想いを頭の中で巡らせてい…

僕達の世界線は永遠に変わらない [ヒーラーの力]

そんな優しい気持ちで接していたのだけれど、結月が何かを思い出したのか、座った目をして僕の顔を見詰める。 「ねぇねぇ匡。貴方が治療に入る前にわたしが言ったことを覚えてるぅ?」 「えっ!?あぁ、まぁね」 不意に問われ、頭にはパッと二つのことが思い…

夢中の少女 6〜7話

[許さない...] コイツは車に乗り込み幽体の僕も後部座席に移動する。 すぐに発車するのかと思いきや、コイツは車のガラス窓を開けて幼い僕を見送っていた。 どんな表情をして見送っているのかが気になり、一旦車のドアをすり抜け外に出て確かめると...まさ…

僕達の世界線は永遠に変わらない [酒に酔う]

そこから各自が思い思いのチーム名を考え口に出して行き僕で最後となった。 飛鳥井さんが陽気な感じで僕を促す。 「匡、新入りだからって遠慮せずに言ってみろよぉ~♪」 僕は少し恥ずかしかったのだが、周りがビールを呑みほろ酔い状態だったので思い切って…

夢中の少女 3〜5話

[小さなリュック] この年と日付けは鮮明に覚えていた。一生忘れられない衝撃的な出来事が重なった日だったから... 外を見ると陽が沈み、遠くが見えなくなるほど薄暗くなっている。もし、あの日と同じならそろそろアイツがこの部屋に帰ってくる頃だ。 そん…

僕達の世界線は永遠に変わらない [ジャスティス!]

全員が席から立ち、男性陣は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、女性陣は棚からパッケージに入ったツマミになりそうなものを物色してテーブルへ運ぶ。 準備が整い全員が席に着いて缶ビールのタブを開ける。 「では改めて、新メンバーの匡の加入と、もっと大きい…

夢中の少女 1〜2話

[走馬灯のように] 「ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…」 狭い個室に心電図の安定した音だけが響き渡る。 僕は、病院のベッドで静かに呼吸しながら眠る僕を眺めていた。 ベッドのすぐ横には、短めで癖の無い黒髪の少女がパイプ椅子に座ったまま眠っている。 彼女は幼馴…