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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第2話 出雲の地へ ノ2

「拙者も初見あればときめいてござるよ」

「僭越ながらあっしもでやんす」

「う~む、儂も皆に同感じゃな」

 先に口を開いたお銀に続き、蓮左衞門に九兵衛、それに仙花を加えた四人は、雪舟丸の「居眠り歩き」を目の当たりにし、揃いも揃って興味津々のようである。

「然れども、どういう理屈で歩けておるのかのう?近頃噂に聴く盲目の剣士「座頭市」は杖を頼りに歩くと云うが、目を瞑り居眠りしながらしかも杖を使わないとなると、「座頭市」を超えてしまっておるというものだな...」

 仙花の疑問に隣を歩く情報通のお銀が答える。

「仙花様。聞くところによれば雪舟丸は気功術の達人でもあるようでございます。常人の目には見えませぬが眠っている最中も絶え間なく気を張り、いつ何時でも敵襲に備えているらしく、その気を使い身体が自然に動き徒歩を可能ならしめているとのこと...にしても『座頭市』のことをご存知とは流石にございますねぇ♪」

「.........ハハハ。理屈は少しだけ飲み込めたが...やはり合点がいったとまではいかんのう...」

「フフフ。この世の森羅万象には理屈では手に負えぬものが星の数ほどございます。もしも、『居眠り歩き』を体得したくばそのうち起きている雪舟丸に訊くのが手っ取り早いかと」

「左様じゃな。長い旅になるのだから機会を見て訊くとしよう」

 と仙花が何となく収まったところで、「座頭市」の名に関心を示しす蓮左衞門。

「お銀さん。拙者は『座頭市』のことは雀の涙くらいにしか知らぬのだが、今までにその姿を目にしたことはござらんだろうか?」

 忍者は諜報者としての側面が強い職である。くの一なるお銀ならば知っているかもしれないと思い聴いたのだった。

 実のところ、光圀が仙花のために呼び寄せた特徴あるこの四人は、各々が元々にして面識がなく、初めて顔を突き合わせたのも十日前であったため詳しい人となりを知らぬ者同士である。

 にも関わらず溶け込んだように会話できるのは一重に昨晩の宴会が功を奏したのかもしれない。

「おや、蓮さんは『座頭市』に興味があるようだねぇ。見たことはぁ...あるよぉ」

 そう言ってお銀は思い出しつつ「座頭市」を目撃した時のことを語りだす。

「詳細は話せないけれど、あれは半年くらい前の任務中だったかなぁ。移動の途中で林の木々を飛び渡っていると、林道で野良の浪人衆に絡まれている小汚い格好の男が目に入ってね。面白そうだったから、大木に身を潜めて眺めることにしたんだよ...」

 

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