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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ17

 村人達が「おおぉ」と唸り驚く表情を見てすっかり調子づいた蓮左衞門が、腕に力を込めて巨木の回転速度を上げていく。

「どらどらどらどらどらどらーーーーっ!!どうでござるかーっ!この怪力っぷりはーーーっ!!???っっとーっっ!!??」

「ゴッ!ガガガギギギガガガァァァーッーッ!!」

 巨木の回転速度を制御する蓮左衞門の許容能力を超えてしまったため、否、単に手が滑ってしまったために巨木は彼の手から離れ、焚き火のど真ん中に落ちた上に激しい回転により火の粉と炭に近い薪を飛散させたのだった!

 村人達は慌てふためきその場から遠ざかり、仙花とお銀もその場から飛び退くなか、回転する巨木をなんとかせねばと蓮左衞門が熱さに耐えつつ近づく。

「うぉあちちちっあっちーっっ!!?」

「ガシッ!!」
 
 四苦八苦しながらも巨木をがっちりと掴み竜巻のような回転を必死で止めた。

「ふぅ〜、大惨事に至らず良かったでござる」

 独り相撲を集結させ一安心の蓮左衞門に向けて仙花が叫ぶ。

「馬鹿者ーっ!既に大惨事になっておるわ!周りを見てみろ!村人達が恐れて遠のいてしまったではないかっ!」

 言われて周囲をぐるりと見回した蓮左衞門が青くなる。

「こ、これは、申し開きのしようもないでござるぅ...」

 あろうことかお銀に続き蓮左衞門までもが失態を犯し、さもすればあのままの流れで仙花が話し続けた方が上手くいったのかも知れないと思える惨状...

 明らかに怯えている村人に向かって諦めない仙花が話しかける。
 
「皆の者!尽く驚かしてすまぬ!だがこれだけは分かってくれ!儂らは困っているお主達を助けたいだけなのだ!」

 一生懸命に伝えているのだが、お銀と蓮左衞門の失態でドン引きした村人達の心は帰らず、彼女に注目してはいても皆が揃って黙り込む。

「くっ、時を置く必要があるか...」

 事が思うように運ばず仙花は意気消沈してしてしまった。

 とそこへ、遅れて来た二人のうち九兵衛が側に寄って耳打ちする。

「仙花様、光圀様に頂いたあの印籠を今こそ村人達に見せんでさぁ」

「印籠?そんなもの出してこの場が好転するとでも言うのか?まぁ良い、暫し待て」

 九兵衛の言うことに腑が落ちないながらも、仙花は上着の袖を急いで弄った。が、なかなか印籠は手に触れず見つからない。
 光圀に貰った品を失くしては一大事と
焦燥感が湧き始めたところで、彼女は何かを思い出しポンと手を叩く。

「おお!思い出した思い出した!あの印籠は旅路の中途で蓮左衞門に預けたぞ」

 

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