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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ8 異種族

 これはもちろんお銀一人の力ではなく、上級怪異である妖狐の妖力が加わって初めて成せる業であった。

 地割れが完全に埋め尽くされ、海岸沿いの道が以前の平坦だった姿を取り戻した。

 と同時に全てのチャクラを使い果たしたお銀が地に膝をつく。

「ふぅぅ...」

 百年に一度の逸材と云われるくノ一とて、人智を超えた大技を使った反動で疲労困憊のようである。

「すまぬなお銀。だが良くぞやってくれた。其方のお陰で今まで通り人々が歩けるようになったぞ。本当に其方の忍術は大したものだな」

「お褒めに預かり光栄にございます。しかし手前はもう一歩も歩けそうにございませぬ...」

「お~い、おいおい。オレの妖力があってこその結果だろうに。もう少しオレの方にも着目して欲しいところだぞ。それにこっちだってクタクタなんだよなぁ」

 お銀と仙花のやり取りに無理矢理割って入る弧浪。

「フフフ、そうねぇ。あんたも今回は疲れたろうに。助かったよ、あたしの中に戻って休みな」

「おわっ!?お銀さんが褒めてくれるとは...こりゃぁ一雨来るかもだね~」

「馬鹿みたいに晴れ晴れとした天気なのに降るかっ!全く口数の多い怪異だ。余計なことは言わんで良い。さっさと戻れ」

「は~い」

 お銀からいつもの元気が失われていることに気づいた、かどうかは定かでないけれど、妖狐の弧浪も消耗が激しかったのか適当な返事をして彼女の中へと戻っていった。
 
 突如として天より現れ嵐のように暴れたかと想うと、最後には半泣きになり、仙人らしからぬ捨て台詞を残し飛び去っていった即蘭眉雲峡(そくらんびうんきょう)。
 その仙女が己の力を見せつけるために破壊してしまった道を、お銀が修復しようと現実世界に具現化した妖狐の弧浪。

 人間とは種族を異にする二人は強力かつ特別な能力を所持しており、人を疲れさせるというはた迷惑な部分で共通していた。

 お陰で仙花一行に精神的な疲労が残ったものの、少しでも早く目的を達成しようと出雲国へ向かう旅路の歩を進めた。

 

 出雲国へ入るまでの道のりがあと数里となったところで、辺りはすっかり暗くなり夜を迎えると、弧浪がお銀に冗談めかして言った言葉が実現する。

 日中あれだけ晴れ晴れとしていて空はいつの間にやら雨雲に覆われ、冷たい雨がポツリ、ポツリと降り出したのだ。

 出番の少ない九兵衛が腕を指すりながぼやく。

「ついてやせんねぇ。早く宿を見つけないと身体が冷えてしやいやす」

「そうじゃのう。腹も減ったし、ぼちぼち屋根のある場所で身体を休めねばな...」

 

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