orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ36 危急!

 と、丁度話が終わる頃合いに団子屋の娘が山盛りに串団子を乗せた大皿を運んで来る。

「お待たせしました~!これでご注文の団子は全部になります~」

 団子屋の娘はそう言うと、長椅子に座る仙花と真如の間に大皿を置いた。

「くっくっくっ、これは爽快じゃわい。じゃがこれだけの串団子を一人で食べるのはやはりもったいない。折角じゃ、皆で食べようじゃないかえぇ」

 意外過ぎる真如の言葉に皆が一瞬戸惑う。
 何故なら、先程出てきた三十本の串団子をペロリと食べてしまった真如。そんな彼女なら残りの七十本も一人で易々と平らげるであろうと皆が思っていたからである。

「んん?どうしたというのじゃぁ?お主らに奢って貰った串団子じゃが遠慮は要らんぞい」

「...そうじゃな、此処は甘んじて皆でいただくとするか」

 仙花が四人に声を掛けると、お銀、蓮左衛門、九兵衛、それに寝ていた筈の雪舟丸が目を覚まして串団子をいただこうと歩き近づく。

「ではでは、遠慮なくいただくでござるよ」

 最も近くにいた蓮左衛門がいの一番に大皿へ手を伸ばした。

 その時、生物の気配を感知する脳裏力に長けた雪舟が、上空からただならぬ気配を察して見上げ、即座に皆へ危急を知らせる!

「上から何か来る!今すぐそこから離れろっ!」

「!!??」

 昨日の雲峡という仙女に続き、またもや上空からの厄災か!?

 九兵衛と団子屋の娘を除いた四人が雪舟丸の声に反応し、真上を見上げ何かが急速に落ちて来るのを確認しそれぞれが行動に移る!

 仙花は何が起こっているのか分からず硬直した団子屋の娘を抱くようにして飛び退き。
 真如は危急にも関わらず串団子の大皿を片手に持ち軽やかに離れ。
 蓮左衛門とお銀の二人は飛び退くと同時に武器に手を掛け構えた。

 各々が行動を終えて身体を静止させるや否や!

「ズッ!!!ドォーーーン!!!」

 凄まじい速さで上空から落ちたそれは、長椅子の前の地面に着地し爆音と大量の土埃をあげた!

 いったい何が落ちて来たのか?と皆が長椅子のあった場所を注視していると徐々に土埃が流れて行き...

「おい。美味そうないい匂いを辿ってわざわざ進路を変えて来たのだ。そいつを寄越せ」

 土埃の中心から聴こえたその声は、串団子の大皿を抱えた真如に向けられていた。

「...だぁれがくれてやるもんかい。欲しければ力づくで奪ってみなぁ」

 土埃が完全に無くなっておらず、声の主が何者なのかハッキリしない相手に強気な態度で返した真如であったのだが...

「ヒュバッ!」

 突如として突風が吹いて通り過ぎ、残っていた土埃も一緒に乗せて行き、声の主の正体が見て取れた真如は急に身体を震わせ始め、己の浅はかさを呪ったのだった。

 

===============================
過去の作品はこちらにまとめてあります!
https://shouseiorutana.com
===============================