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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ89 異変

 羅賦麻の周囲は瞬く間に月のクレーターを彷彿とさせる景観へと様変わりしてしまった。

「やっちまったなぁ...雅綾爺...だがこれで勝ったやも知れぬ...」

 仙術の力を溜め込み戦況を注視していた府刹那は寂しげにそう呟いた。

 しかし、府刹那の絶望と希望の入り混じった予測は悲しいかな、ものの見事に外れてしまう。

 凄まじい重力に辛抱強く耐えて来た羅賦麻の身体が押し潰され肉塊と化すと思われたその時!

「グゥォシャァァァ!!!!」

 奇妙で激しい音を立て魔王のボロボロの身体の異変が起こった!
 強靭な漆黒の肉体が全面的に崩壊した直後、まるで岩のように硬く、ゴツゴツとした黒光りする鎧を纏ったかのような姿に変貌を遂げたのである。

 これは亜孔雀が腕を粉々に破壊され、無くした部分を再生した能力の上位にあたる超再生とでも表現するのが良いだろうか。実のところ、悪魔の能力云々のものでは無く、これが魔王羅賦麻の本来の姿であったのだが、変貌を遂げたその姿は、さっきまでの悪魔らしい姿とは全く異なり、無機質でごつい生気を感じさせぬ人形のような姿となっていたのである。

 命を賭して勝利するは目前と考えていた雅綾は、その魔王の姿を見た瞬間にこと切れ、元々ヨボヨボだった身体は完全に水分を失い、ミイラの如き姿に変わり果て前のめりに倒れたのだった。

 

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