一輪の廃墟好き 第86話 日頃の鍛錬
そう、淀鴛さんのご先祖様である老婆の霊から幸運にも得られた超貴重な情報...あの30年前に起きた淀鴛家にとって大きな災いとなった事件が、自殺ではなく他殺の可能性が出て来たことに加え、犯人は井伊影村の住人であるかも知れないということ...
老婆の霊が示してくれた情報を鵜呑みにするわけではないけれど、もし仮にこれらの情報が真実だったすれば、事件現場で手に入れたこの灰は、僕の特殊能力である「想いの線」によって大いに役立ってくれることだろう。
だが正直なところ、僕の想像している通りにことが運んでしまったとして、30年前の事件の謎がほとんど何の努力もせずに解明され、僕は探偵としての素晴らしい推理能力を発揮する場面を失くしてしまうわけだが...
まぁ、そんなに上手く事が運ぶわけが無いし、余り老婆の霊の情報を過信してしまうのは如何なものだろう...
などと考えているうちに、いつの間にやら森の出口がもうそこまで見えて来た。
服のポケットからスマホを取り出し時間を確かめる。
「喜べ助手よ!僕達は燈明神社へ向かった時の実に半分の時間で森を抜けることが出来たぞ!」
「あっ嗚呼...そうですかぁ...わたしお腹ペコペコで死にそうなんだけどぉ...」
非常に残念だ。彼女にとって大幅に時間を短縮したことはさして嬉しいことではなかったらしい...
ともかく、僕と未桜は日頃からジョギングや格闘技の鍛錬を積んでいるお陰を持ちまして、これでも体力にはちょっとした自信があるのである。
僕としては日頃の鍛錬が身を結んだことに喜びを感じていたのだけれど...
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