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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 プロローグ

 時は安定期を迎えつつある江戸時代中期。

 巨大な力を得た江戸幕府に反旗を翻すような愚か者はそうそう現れることもなく、各地方において小さな内戦こそ起こってはいたものの、群雄割拠の戦国時代とは程遠いまさに平和とも呼べる世となりつつあったのだが...

 いつの時代も同様であるように、多くの者達が命を失う大きな戦争がない平穏な世界においても、全ての者が平等かつ健康的な暮らしをおくれるかといえば、決して理想通りいかないのが世の常である。

 人々の器量や運によって概ね人生が決まり、貧富の差が歴然とする中、苦しい生活を余儀なくされる民が大半であった。

 とまぁ...このようなことを語り続けても仕方があるまい...

 さて、この江戸の時代には人間以外に人間を害する者達が存在していたことをご存じだろうか。

 もちろん野生動物や細菌なども人間を害する存在ではあるけれど、それ以外であまり知られていない存在。人々の間では架空の存在であるという位置付けの「妖怪」や「悪魔」といった類のいわゆる「怪異」のことだ。或いは「妖魔」と呼んでもいいかも知れない。

 雨降りしきる山の道中、天下の「水戸黄門」の手によって幼少の時に拾われた物語の主人公「仙花」。

 彼女が厳しくも大事に育てられ、美しさと武術が目に見えて際立って来た頃、世間を揺るがしかねない「怪異」の情報が光圀の元へ届き、老いぼれてしまった光圀の代わりに配下の四人を連れて仙花は旅立ったのである。

 馬には騎乗しない「ひざくりげ」でもって旅する仙花一行の前には、幾多もの困難が訪れ、時には容易く、時には必死になって乗り越えて来たわけだけれど、道中の何処にでもある団子屋で串団子を味わう長閑な風景の中、突如として現れた圧倒的な力を持つ魔界の王子である「亜孔雀(あくじゃ)」の手によって、今度こそ全滅しかねない苦境に立たされた。

 このかなりヤバめな場面に偶然にも居合わせた一人の老婆、彼女は奇しくも、遠い過去に亜孔雀と因縁のある元人間であり、元仙女でもある「堕仙女」の「聖天座真如(せいてんざしんにょ)」であった。

 此度の「仙女覚醒編」から続く「疾風怒濤編」は、そんな絶体絶命の窮地から始まる物語。

 はてさて、どうなりますことやら分かりませぬが、ともあれ、わたくし語り部が語っていくことと致しましょう...

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