orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

一輪の廃墟好き 第154話 第一部最終話

 一瞬であったとはいえ、刑事である淀鴛さんに疑いの気持ちを抱いたのは事実。

 だが新川夫妻殺人事件の犯人の手がかりとしては今のところこの小さなヘアピンのみであり、事件に僅かでも関係を持つ人物を疑うことは探偵として間違いではない筈だ。などと、細やかながら自分を自分を慰める...

 それから僕達三人は遺体安置室を出て病院をあとにし、淀鴛さんの愛車に乗り込み井伊影村へとんぼ返りすることとなった。

 何故なら、「想いの線」が指し示した方角が井伊影村だったからに他ならない。

 つまり犯人である可能性を持ったヘアピンの所有者が、井伊影村にまだ残っているかも知れないのである。

 このあと、井伊影村へ着いた僕達を待ち受けていたのは、予想だにしていなかった人物による驚くべき行動であった...

 さて、取り敢えず今回で僕の物語は一旦中断することとなるわけだが、少しばかりおさらいしておこう。

 先日の午前中に井伊影村を訪れ、最初に出会った人物、否、正確には「幽霊」だった民宿の先代の女将、ラーメン屋の元気な店主、道端で出会った幼い男の子、駄菓子屋の貞子さん、殺された新川夫妻、刑事の淀鴛さん、淀鴛さんのご先祖様に当たる老婆の霊、民宿の若女将、現場の警察の方々、病院の女性看護師などと接したわけだけれど、ミステリー小説ならばこの中に犯人がいて然るべきだと僕は思う。
 おっと、井伊影村を訪れる以前から既知である助手の未桜と、散々語ってきた僕自身が犯人である可能性も現状ゼロではないかも知れない...


「一輪の廃墟好き」第一部 完

 

===============================
過去の作品はこちらにまとめてあります!
https://shouseiorutana.com
===============================