刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第89話 恐怖
遊園地のお化け屋敷を想像してみてほしい。
不気味な絵が壁に描かれ、暗い空間を淡い蛍光灯の光りが微妙故に訪問者の恐怖心を煽る。
そんな中に突如として、死神やら幽霊やらの不気味な声が響こうものなら身体が「ビクッ!」と条件反射を起こすのがオチなものだ。
仙花の現在置かれている状況は、いわば現代でいうところの「お化け屋敷」を進んでいるようなものだが、彼女は人の何倍も肝が据わっていて、否、単に恐怖心という感情がやや欠落しているのかもしれないけれど、突如として暗闇から聞こえた声に反応するも、まったくもって怖気付くようなことは無かった。
「誰じゃ!?このような暗い洞穴にずっと潜むものとあらば、ただのまともな常人ではあるまいて」
「...ケッケッケッ。小娘めがこれはご挨拶だな。まだオレの姿も目にしておらんというに人のことを狂人呼ばわりかい...いや待てよ...こんな暗く何も無い洞穴に四六時中いるオレは確かに間違い無く『狂人』なのかも知れないなぁ...」
暗闇から聞こえる声は性別で言うなれば「男』の声であり、声質からしてそう若くも無く年寄りでも無さそうだった。
「儂は一言も『狂人』とは言ってはおらんがな。しかし余程会話に飢えているらしいのう。よく喋る奴じゃ』
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