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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第74話 今宵

 光圀の応対に柚須灘(登代)がクスクスと笑う。

「私如きの人生に興味を持っていただいき光栄に存じます。それで...厚かましいこと甚だしいとは存じますけれど、一晩泊めていただくことはぁ?...」

「心配はご無用、もちろん大丈夫じゃよ。見たところ邪気は感じぬし、怪しいところはぁ...まぁ無くもないが、害を及ぼすようなお人には到底見えんからのう...」

 光圀が「怪しいところは無い」と断言すると予測していた柚須灘(登代)は内心ドキッとせざるを得なかった。

 洞察力が人並み外れて優れている光圀のこと、ひょっとしたら既に人間ではないことを悟られたのではと思ったものである。

 だがこんなことで動揺するような仙女の柚須灘(登代)であろうはずもなく。

「フフフ...確かにこんな場所へ女の身一つで現れるような者は怪しく思われて当然かとも存じます。では、今宵は私めの怪しい話を存分にお楽しみくださいませ」

「こっこっこっ。やはり其方は只者ではないらしい。今宵は久しぶりに美味い酒が飲めそうじゃ。ささ、遠慮せずに屋敷へ上がりなされよ」

 光圀は愛しく思う仙花が旅立ってからというもの、日々の暮らしに寂しさを感じていたいもので、突如として現れた絶世の美女に若干浮き足立っていたのかも知れない...

 

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