orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第215話 疲労

 歩きながらでも疲労を回復するほどの十分な睡眠が摂れる居眠り侍の雪舟丸は別として、仙花をはじめとした他の四名は若干の睡眠不足だった。

 

 その要因としては、目指す薩摩の国へ少しでも早く到着したいという仙花の願望から、より最短距離な道を選択した結果、田舎ばかりでこれといった人気の無い道を歩み、ここ数日は宿が取れず野宿をする羽目になってしまったからである。

 

 くノ一であるお銀を一つの例に出してみれば、彼女は元より警戒心が強く、無防備全開の野宿となればことさら熟睡などできようはずもなかった。

 

 とはいえ、お銀は身体的にも精神的にも鍛え抜かれているゆえ、体感としての疲労感はさほどでもなかったのかも知れないが、本人が思っているより身体に疲労は溜まっていたのである。

 

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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第214話 限界

 そして仙花が女子を凝視していて自然に瞼を閉じ開けた瞬間、もはや見張り台に女子の姿は無く忽然と消えてしまった。

 

「...ふむ、とてつもなく素早い奴なのか、はたまた何かしらの能力なのかは分からぬが女子が一瞬で消えてしまったわい」

 

 呟くように話す仙花の背にお銀が声をかける。

 

「...さようにございますか。仙花様、いずれにしてもすっかり日が暮れて辺りが暗くなっておりますゆえ、今宵はこの村の何処かで一泊することに致しましょう」

 

「拙者もお銀殿に賛成でござる。この村は初っ端から大量の怪異が現れる怪しさ満載でござるが、一つくらいまともな宿屋があるかも知れぬ。それに拙者の腹が限界まで減ってさっきから腹がグゥグゥ鳴っているでござるよ」

 

「よし!決めた!今宵はこの村で一泊することにしよう」

 

 普通の旅人なら野宿してでもこの村を離れたいと考えるところだろうけれど、仙花一味は何の迷いもなく不始末村で一泊することを決めたのだった。

 

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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第213話 表情

 よって仙花には確実に見えていた見張りニヤリと笑いおったぞ台の天辺に佇む少女の姿を、他の四人は確認出来なかったわけである。

 

「そうか、お主らには見えておらんのか...じゃが恐らくあの少女には儂らの姿が見えておるわい。ん!?今確かに笑いおったぞ!?」

 

「さようにござりますか...」

 

 仙花は訝しげな表情をしてそう伝えたけれど、他の四人には相変わらず見えていないため、如何ともし難い空気が流れた。

 

 この時彼女が目にした少女は、紛れもなく数年前に呪いの怪異である姚紅(ようべに)により殺され身体を奪われた椿(つばき)の姿であった。

 

 先に語った話の繰り返しになってしまうが、椿を含めた貧乏であった四人家族は、元旦の日の出を拝むことなく姚紅の手によって参殺されたのである。
 

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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第212話 格段

 「人間から仙人へと覚醒した」という稀有な事象は、五感しか持たない常人があることをきっかけに第六感を持ったり、どこかの宇宙人がスーパーなんたらになったと云えばわかりやすいだろう。

 

 兎にも角にも仙人に覚醒した者は己の身体的能力などが格段に上がっているこを感じずにはいられない。

 

 真如に関してもその効力は如実に現れ、彼女は歓喜したものだったが、彼女の能力は人間だった頃に比して精々2〜5倍程度のものだった。

 

 此度の仙花の場合は真如と違い身体的能力の向上は2〜5倍では収まらず、基本的には5〜8倍程度であったけれど、部位によっては人間だった頃より10倍近くも向上していたものである。

 

 それが如実に現れているのは、特に重要である視力に他ならなかった。

 

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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第211話 AI

 あれれ?この仙花のくだり、似たような内容の話を語ったようなそうでもないような...

 

 「人の記憶は儚いもの」などという言葉はなかなかどうしてよく聞くもので、こと現代においては、映画「ターミネーター」や「マトリックス」における世界の征服者である「機械(マシン)」は、夢物語だったかのように思っていたけれど、昨今のAIやロボットの発達たるや凄まじく、あと数年も経てば人間を超えていくであろうことは間違いない。

 

 まだ人間が制御できるうちはその発達振りに期待できるものですが、仮に人間がAIやロボットをコントロール出来ない時が来たならば、映画の空想的世界が現実味を帯びてしまう恐ろし事態になるのではと一人で勝手に危惧する語り手でございます。こわやこわや...

 

 さて幾分か物語を脱線致したとございますれば、仙花らの世界に舞い戻り、話の続きを語ることに致しましょう...

 

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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第210話 飛躍

「あっしには全くもって見えねぇでやんす」

 

「拙者にも見えぬ...」

 

「同じくでござる。仙花様にはあの天辺に人が、それも女子が見えるのでござるか?」

 

 驚きの表情をする蓮左衛門の問いにも、やはり1ミリ首を動かすことなく仙花が答える。

 

「ああ。儂にはクッキリと見えておるぞ。なかなか可愛げのある顔をしておるが、如何にも怪しげな感じじゃのう」

 

 元から常人より優れた身体能力を持っていた仙花が仙女となり得た今、その身体能力のどれもが飛躍的に機能を増していた。それも部位によっては2倍や3倍できくものではなく、こと視力に至っては元の視力の10倍ほどにはなっていたかもしれない。

 

 人間が仙人への覚醒を果たした前例は数えるほどしかないけれど、身近なところで堕仙人である「聖天座真如(せいてんざしんにょ)」がいる。

 

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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第209話 確認

 九兵衛が前のめりに倒れそうになりながらも「グッ」と堪えていると。

 

 仙花は身近のややしょうもないやり取りに興味を失ったのか、不始末村の中央に位置する民家の四五倍はあろうかという見張り台の天辺をジッと眺めていた。

 

 軽くではあったが一仕事を終え、また居眠りに入ろうととしていた雪舟丸が気にかけ声を掛ける。

 

「仙花様。如何致した?」

 

 背後からの質問に仙花は見張り台の天辺から視線を動かさぬまま答える。

 

「...あの見張り台の天辺に可愛い着物を着た幼い女子が立ってこちらを眺めておる...」

 

 臣下の四人が揃って目を凝らして仙花の言う見張り台の天辺を注視するが...

 

「眼力には自信を持っておりますがぁ、流石にこの距離で天辺に居るであろう女子は確認できませぬ...」

 

 この中では仙花に次いで視力の優れたお銀に見えなければ、当然ながら男衆も女子を確認することは難しかった。

 

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