刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第213話 表情
よって仙花には確実に見えていた見張りニヤリと笑いおったぞ台の天辺に佇む少女の姿を、他の四人は確認出来なかったわけである。
「そうか、お主らには見えておらんのか...じゃが恐らくあの少女には儂らの姿が見えておるわい。ん!?今確かに笑いおったぞ!?」
「さようにござりますか...」
仙花は訝しげな表情をしてそう伝えたけれど、他の四人には相変わらず見えていないため、如何ともし難い空気が流れた。
この時彼女が目にした少女は、紛れもなく数年前に呪いの怪異である姚紅(ようべに)により殺され身体を奪われた椿(つばき)の姿であった。
先に語った話の繰り返しになってしまうが、椿を含めた貧乏であった四人家族は、元旦の日の出を拝むことなく姚紅の手によって参殺されたのである。
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