orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ21

 仙花と郷六が食糧についてやり取りをしていると...

 村人達がざわざわと俄に響めき始め、堰を切ったように一人の男が叫んだ!

「あ、芥藻屑が来たぞーーー!!??」

「なにっ!?」

 会話の最中だった仙花は誰よりも早く反応した。

 やり取りをしていた二人を含め、その場にいた全員が叫んだ男の視線を急いで辿る。

 そこには、馬に跨る浪人風の格好をした二人組の姿が、手に持った松明の火によって薄らと闇の中に浮かび上がっている。そして闇の中から徐々に村人のかたまりへ到達しようとしていた。

 仙花の一行が無言のまま二人組の前に立ちはだかる。
 
 横並び並んだ一行は中央に仙花。左にお銀、右には蓮左衞門。だいぶ距離を置いた後方に九兵衛。雪舟丸はこの期に及んで村人達の後方にて立ったまま眠っていた。

「ん!?なんだなんだてめえらは?この村のもんじゃねぇな?」

 声で男だと断定できる片割れが中央の仙花に問うた。
 「フン」と鼻を鳴らして応じる仙花。

「儂らは道楽で旅をしておる何処にでもいる旅人だ。お主ら、その風貌からして芥藻屑の芥五人衆の者達と見受けておるが間違いないか?」

「......ほう、おもしろい。村人どもにでも聞いたか、我らのことを知っているようだなぁ。如何にも、俺は芥五人衆が一人、速剣の雅楽奈亜門(がらくなあもん)。そしてこいつが...」

「いやいや待て待て亜門。わての名はわてが名乗るから言わんで良し」

 先に名乗った亜門に比べ、遥かに背丈の低い男が彼の口を止めた。

「わては芥五人衆が一人、飛剣の沙河定銀(さがていぎん)。わての名は覚える必要はない。ないが一応名乗らせてもらったぞ。極々短い間になると思うがよろしく頼もう」

 雅楽奈亜門の方は、体型からすれば四谷流甲斐とさして変わらず普通と云ってはなんだが普通である。一方の沙河定銀と名乗った男は、身の丈が仙花よりも低いのでは?と思わせるほどこじんまりとした体型をしており、顔の真ん中にある赤みがかった大きな鼻が特徴的な変わり者と云った感じだろうか...

「して、芥の屑を代表する二人がこの村に何の要件があって来たのだ?」

 皮肉を言われたことに気付いていたが、全く意に介さない様子の雅楽奈亜門が応える。

「おやおや、粋のいい娘さんだなぁ...俺達が再びこの村を訪れた理由を教える恩も義理もないが、疲れているところに若く美しいお顔を拝ませて貰った礼に教えてやろう。今朝、この村を襲った際に逃げた者どもを追って離れて帰って来ぬ仲間が居てな。そいつらを探しているのだが...旅の娘よ。何か心当たりはないか?」

 

===============================
過去の作品はこちらにまとめてあります!
https://shouseiorutana.com
===============================