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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ27

「キッイィッーーーーーーン!!!!」

「なっ!!??」

 なんとなんと!仙花は己に向けられた高速の剣を背中で受けたのである!そして背中からザックリ斬られたのかと思いきや、雅楽奈亜門の刀は何かにぶつかり鉄と鉄が鉢合わせたよう音を立てて大きく弾かれた!
 そう、彼女はずっと背中に背負っていたもう一本の秘刀、鳳来極光(ほうらいきょっこう)の収まる鞘によって攻撃を防いだのである。

 攻撃を弾かれたことにより、驚きの声を上げた雅楽奈亜門に明らかなる隙ができた!

「寝ねよ悪党!」

「ザシュッ!!!」

 目論見が狙い通りにいった彼女には端からその気はなかったが、躊躇など微塵も見せず風鳴りの抜刀術によって雅楽奈亜門の腹を掻っ捌いた!

「チン!」

 確かな手応えを感じ、勝負ありと確信した仙花は風鳴りを一度空振りして血を祓い鞘へと戻す。

 命を落とすほどの深傷を負った雅楽奈亜門は立つことも叶わず、地べたに両膝を着き項垂れ斬られた腹部を両手で押さえた。

 彼はガクガクと身体を震わせ、押さえる傷口から当人を循環することのなくなった赤い血が容赦なく流れ出す。

「...わ、笑えねぇなぁ...ま、まさか今日が俺の命日になるとはねぇ...も、もっとマシな生き方をすりゃあ良かった....」

「もし生まれ変われたならば、今度は違う生き方をするがいい...」

「...そ、そうするか、なぁ....」

 悪党集団芥藻屑の芥五人衆が一人、速剣の雅楽奈亜門はその言葉を最後に力尽き、うつ伏せのまま二度と動かぬ屍となった...

「お見事でござる!仙花様ーーっ!」

 蓮左衞門が仙花の真剣勝負の勝利を喜び声を上げると、ヒヤヒヤしながら眺めていた村人達も驚きと賞賛の入り混じった感情で仙花を讃えた。

 方や、ハッキリと顔に出し、面白くなさそうにしているのは屋根上で傍観していた沙河定銀。

 実のところ、彼は二人の一騎打ちを黙って傍観しているつもりつもりはサラサラ無く、隙あらば「飛剣」の由来である短く小さな飛刀を投げてやろうと構えていたのだが、余りにも早く決着がついてしまったため投げる機会を逸していたのである。

「あ〜あ。亜門のやつ、あんな小娘にあっさりとやられやがって。こうなりゃわて一人で無双してやるか...」

 そう呟いた沙河定銀の後ろから、ゆっくりス〜っと現れた冷たい短刀の刃が喉元に当てられた。

「っ!?」

「あんたの戯言のような無双は残念ながら実現することは無いねぇ...だって、あんたはこの場でたった今死んじゃうんだからさぁ...」

 その声の主は、蓮左衞門の隣からいつの間にか姿を消していたくノ一のお銀であった。

 

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