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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ46

 突如として現れた少女の物言いに訝しげな目を向ける坊主頭の男。

「...小ちゃい娘。てめぇが門番を殺ったてのかい?」

「ああ、一刀のもとに斬り伏せてやった。因みにお主が言うほど儂は小さくないぞ」

 「小ちゃい」の一言に過敏な反応を示す仙花。彼女の背丈は高くはないが低くもなく極々平均的身長であったが、巨漢の坊主頭からすれば小さいと感じたのだろうが...

 坊主頭が険しい顔をさらに険しくさせたあとすぐに笑い飛ばす。

「カッカッカッ!面白い娘だ。ときに、てめえらたった二人で蛇腹に侵入したのか?」

 郷六の村にて相対した芥五人衆の雅楽奈亜門と沙河定銀、彼らが見せた垢ら様に舐め切った態度と同様のていに仙花が辟易として言う。

「まぁ、そうだ。長話をする気は無いし面倒臭いから言っておくぞ。我が名は刀姫こと水戸の仙花。で、こっちが我が家臣の蓮左衞門だ...さて、儂らは旅の途中で芥藻屑という人を拐い奴隷として扱う卑劣な悪党どもの噂を耳にし、目的の道をわざわざずらしてまで脚を運んだが、無論、遊びに来た訳ではないぞ。貴様ら全員、一人残らず成敗してやるから覚悟せいっ!」

 仙花がキメ顔で宝刀「風鳴り」を構え、先の蓮左衞門とは別に気合を込めて芥藻屑に宣戦布告した。

 この間に中央社を始め、他の家屋から武装した芥藻屑の賊がぞろぞろと現れ仙花と蓮左衞門を囲む。

「フン、面白い小娘が途方もなく面白いことをほざいてくれるものだ。...ん?あれは...よもや囚人どもを逃がしおったのか貴様ら!?紅樹(こうじゅ)!紅樹はおらぬか!?」

 坊主頭が正門から外へ逃げる囚人達の最後尾の数名を目撃し、一味の者であろう一人の者に呼びかけると、忍者装束を纏った如何にも忍者な男が何処からともなく現れた。

 坊主頭の背後に立ったその忍者が静かに告げる。

「雷角(らいかく)殿、拙者は此処に」

「おお、近くにおって助かった。どうやら正門を抜けて囚人どもが逃げ出しておる。お主、何人か連れてやつらを追ってくれぬか?」

「...承知。しかし足手纏いは不要。拙者一人で十分だ」

 百を超える囚人を捉えることは至極困難な業といえる。が、己の力量に余程の自信があるのであろう、忍者の紅樹はお供を断り「シュッ!」とその場から消えたのだった。

「貴様らの他にも侵入者は居るようだな。いいだろう、久々に熱くなってきおったわ。我が名は芥五人衆が一人、「怒剣(どけん)」の鷲尾雷角(わしおらいかく)!この六角金棒で貴様らの頭を粉砕してやるわ!!お前らそいつら取っ捕まえろ!!」

 鷲尾雷角がそう叫ぶと、仙花と蓮左衞門を取り囲んでいた賊どもが一斉に襲いかかった!

 

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