orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ47

「蓮左衞門!」

「合点承知にござる!」

 声のみで意思疎通を図った仙花と蓮左衞門は、互いに背中を合わせる立ち位置に構え、複数人で襲いかかって来る賊に応戦する。

 芥藻屑は数において比較するまでもないが圧倒的優勢である為、そこに明らかな油断が生じ揃いも揃って隙だらけの雑な攻撃を仕掛けた。

 一度きりとはいえ、芥五人衆が一人の雅楽奈亜門との命を賭けた決闘は、仙花の戦闘に関する成長に大きく寄与している上、賊どもの動きは「速剣」の技量に遠く及ばない。

 仙花の目には賊どもの動きなど止まって映った。

 幾多の剣線の先を読み、安全な位置に素早く重心を低くして移動し、最も近い敵の脚を狙って風鳴りによる一閃を叩き込む。

「っ!?」

 最初の犠牲者は脚に違和感を覚えたものの、あまりの剣速に痛覚の反応が遅れて何が起こったのか理解出来ずに戸惑う。

「ぎゃっ!?」

「ひっ!?」

「なっ!?」

 仙花の勢いはそのままに、流れる様な剣技によって立て続けに三人の腕や腹やらを切り裂いた。
 あっという間に攻撃を仕掛けた四人に致命傷を負わせた様を眺めていた賊どもは、直ぐに攻撃を仕掛けるのを躊躇し立ち止まる。

「なっ!なんだこいつは!?ただもんじゃねぇ!?」

 賊の一人が声に出して驚き周りの者も数歩後退りした。

 片や彼女の背中を守る蓮左衞門は仙花の様に攻撃を避けず、敵の武器を刀で強引に弾いては無防備になったところを次々に斬っていく。

「どりゃぁっ!」

「ごわぁっ!?」

 剣速の速い仙花の薄く綺麗と云ってはなんだが線の様な斬り傷とは異なり、蓮左衞門に斬られた敵の傷は太く粗い為、多くの血飛沫が噴出し広範囲の地面を真っ赤に染めていく。
 とは云っても、それは仙花の流れる様な剣技を例えるなら「流剣」、蓮左衞門の剣技は豪快な「剛剣」という違いだけで、決して彼の剣技が優れていないという訳ではなく、敵にしてみればむしろ派手に斬り倒されていく味方を見て心底ゾッとしていたほどである。

 予想外の展開に苛立つ鷲尾雷角が手下に怒号を飛ばす。

「ちっ、この二人なかなかやるじゃねぇか。野郎ども!馬鹿みてぇに突っ込んでないでちっとは考えて攻めやがれ!!」

「「「おおっ!!」」」

 仙花と蓮左衞門の驚異的な強さに怯んだ手下が怒号の圧力を受け、別の恐怖心から気合を入れなおした。

「ぎゃーーーっ!!」

 と、此処で鷲尾雷角の耳に西の方からも悲鳴が届く。
 言わずもがな、西の方では暫しの居眠りを禁じられた雪舟丸が封印を解かれた化け物が如く、縦横無尽に暴れていたのである。

 

===============================
過去の作品はこちらにまとめてあります!
https://shouseiorutana.com
===============================