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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ97 知らぬが仏?

 はてさて...
 実の父であり、魔界の頂点に君臨する三大魔王の羅賦麻が、老仙人の雅綾と府刹那との激闘を終え魔界に戻った頃、息子の亜孔雀は仙女の聖天座真如と暮らす住居で呑気に昼寝をして彼女の帰りを待った。

 無論、悪魔である亜孔雀の姿などではなく、人間の美青年である芥川城太郎の姿となって...

 だが、朝から出かけ、もうとっくに帰って来ても良い時間だというのに彼女は城太郎の前に姿を見せず、夕方を過ぎ、暗い夜になってからようやく家に帰って来た。

 帰って来たは良いが、いつもの元気はつらつとした彼女と違い、明らかに気落ちし青ざめた顔に気付いた城太郎が、その理由を百も承知なくせに気を遣った風で訊く。

「...真如...何か悲しいことでもあったのかい?」

「...城太郎...いつも外の草原で将棋を打っていた老仙人の二人のことは知っているでしょう?」

「あ、あぁ、もちろん知ってはいるよ。でも何度か挨拶を交わしたことがあるくらいであまり詳しくは知らないけれど...」

「...そう。実は今日、その二人が東雲湖で無残に殺されていたらしいの...さっき知ったのだけれど、あの人達はわたしの師匠である雲峡様の師匠だったみたいで...だから、わたしが仙女になりたての頃から優しく接してくれていたのね...」

 人の喋り方、話し方というのは人生において幾度か急激に変わったりするものである。
 この真如の場合、仙人へ覚醒する以前に人間であった頃の喋り方と大きく変わっていた。

「そんな悲しいことがあったのか...俺は呑気に昼寝してて全然知らなかったよ。すまなかった...」

 真如が首を軽く横に振って続ける。

「ううん、城太郎にはあまり関係の無い出来事だから別に良いの...」

 結局それ以降、真如は殆ど口をきくことなく城太郎の腕の中で眠ったのだった...何一つ真実を知らずに...

 

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