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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ98 悪夢

 睡眠する最中、人が時折見る夢は良くも悪くも様々である。

 真如はその夜、身に危険の及ぶ恐ろしい悪夢に魘され、何者かが大釜を振り回して我が身が真っ二つに両断された瞬間、ガバッと上半身を起こして目を覚ました。

 額や首に流れる嫌な冷や汗を手で拭った仙女は、両断されたのが夢であったことに安堵し、ホッと胸を撫で下ろす...

 仙女になる以前、人間であった頃の真如の名は「伊乃」。長年の時を経て、当の真如本人ですらその名を忘れつつあった。

 雲峡と出会う寸前まで、大切な人を不慮の事故で突然亡くして絶望し、もはや生きる気力を完全に失っていた彼女は、仙女に覚醒できたことで幸せに暮らし生きている。

 得体の知れぬ悪夢に魘され、死への恐怖を感じたことがそれを真に証明していた。

 しかし、人生とは皮肉かつ残酷なもので、幸せな日々は未来永劫には続かない。これは人が生き物であり、喜怒哀楽の感情を持っていれば当然であり、逃れられぬ宿命とも云えようか。

 仙人界の東雲湖にて、城太郎と奇想天外な出会いを得た今の真如は、久しく感じることの無かった人を愛するという喜びを大いに感じながら暮らしている。

 だが残念なことに、この大いなる喜びを与えてくれた出会いこそが、真如を堕仙女とならしめたきっかけの始まりであり、その時はいよいよもって目前まで近づいていた...

 

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