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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ103 前人未到のナルシスト

「..............」

 退魔の鎧を素っ裸に直接纏う真如は黙して微動だにしない。

 霊蟲の能力によって洗脳された彼女が己の意志で質問に答えること決してない。自由に思考することが出来ず、自我も失っているのだから当然といえば当然であろう...

「ちょっと触れてもいいかな?退魔の鎧君?」
 
 問いに対する答えが返って来ない上、全く動かなくなった退魔の鎧を調べようと、仙王警備隊隊長の露星夜倶盧が手を伸ばす。

「フワッ...」

「おろっ?」

 手が退魔の鎧に触れようとした直前、鎧は宙に浮いたまま後ろへ後退した。

 あまりにも不自然な動きに夜倶盧は訝しんだが、突如としてただならぬ気配を直上に感じ目線を真上上空へ移す!

「なっ!?」

「ちっ!良い勘してるじゃねぇかっ!!」

「ズッガァーーン!!!」

 どうやって空中から落ちてきたのかは分からぬが、上空から現れたただならぬ気配の正体は、真如を迎えに、もとい、退魔の鎧を迎えに出向いて来た亜孔雀であった。

 背後や横からの不意打ちではなく、上空からという最も気付かれにくい不意打ちの攻撃は、ギリギリのところで避けられ亜孔雀の拳が爆音を上げて地面を抉った。

 並の仙人ならば当たった攻撃であったろうけれど、やはり夜倶盧の戦闘に関する実力とセンスは群を抜いていたようである。

「おほ〜!まともに喰らってたら死んでたなぁ、たぶん。んで、お前は誰?」

「馬鹿か?オレは貴様と話すために此処に来たわけじゃない。退魔の鎧はもらっていくぞ」

 亜孔雀がそう返して、魔力によって具現化させた鎖を退魔の鎧に巻き付ける。

「おいおいおい、変な顔した盗人さんよ〜。僕ぁこう見えて仙王直属の仙王警備隊隊長だ。目の前で仙人界の超貴重な代物を盗ませてやるほど間抜けじゃないつもりだぞ」
 
 今の亜孔雀は城太郎の姿ではなく完全に悪魔の状態である。確かに亜孔雀の素顔はのっぺりしているが、こんな緊迫の場面で落ち着き払い他人を侮辱出来る者は、真の馬鹿か己に絶対的自信を持つ者くらいであろう、か?

 無論、露星夜倶盧は圧倒的に後者であったが前者も若干混じっているのかも知れない。
 
 カタカナで例えるなら夜倶盧は前人未到のナルシストであり、その容姿はスラッとした長身に女も羨むほどの美しい髪と顔をしている。亜孔雀の化けていた城太郎の姿も美青年だったけれど、夜倶盧の容姿はその城太郎をもってしても比較にならぬほど美しかった。

 因みに、「カタカナで例えるなら」と云っておきながら、半分は四字熟語であったことは見逃していただきたい...

 

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