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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編 ノ112 失われた意識と記憶

「このお方は...真如殿か?」

 足下のあられも無い姿でうつ伏せに横たわる真如へ視線を落とし、怪訝な表情をして夜倶盧はうっそりと呟いた...

 間も無く仙王警備隊隊長の夜倶盧の部下達が二人の側へ集結し、部下の一人が真如の裸体に羽衣を被せてやった。

「夜倶盧様、真如殿はあの悪魔と共謀して退魔の鎧を盗んだのでしょうか?」

「...どうだろうねぇ...現状からすればそう捉えるのが至極妥当なんだろうけれど...取り敢えず本人に話しを訊いてみないことには...君達、悪いが真如殿を屋敷の中に運び服を着せてやってくれないかな。僕は此度の件を早々に仙王へ伝えなくてはならない」

「承知しました。では、そのように致します」

 部下の一人がそう言うと、他の者達と共に手際よく気絶している真如を運び、夜倶盧は近くにある仙王の屋敷へ急いだのだった...

 
 数時間後、退魔の鎧が置いてあった仙王大社の大部屋で、真如が朧げながら意識を取り戻し目を開けると、夜倶盧が正座して彼女をジッと見つめる姿が映った。

 夜倶盧が和らいだ顔をして真如にそっと話しかける。

「良かった。意識が戻ったようで何よりです真如殿...ところで、目覚めたばかりの貴方に即刻訊くのは申し訳ないのだけれど、なぜ真如殿は退魔の鎧を盗もうと思ったのですか?」

「...................あっ!」

「ガシャリ!」

「えっ!?」

 真如が夜倶盧を頭の中で認識するのに多少の時間を取り、仙王警備隊隊長であることを思い出して起きあがろうとしたところ、手足が鎖で繋がれ動かせぬことに気付き驚く。

「申し訳ないのですが、真如殿は今は退魔の鎧を盗んだ罪により罪人扱いとなっておりますゆえ...そのままの姿勢で質問に答えていただきたい」

「...退魔の鎧をわたしが盗んだ?..とんと覚えがありませぬ...」

 退魔の鎧を盗んだことを完全否定した真如。実際のところ彼女としては口に出した言葉に嘘偽りは無かったのだが、現に退魔の鎧を盗んだという事実は夜倶盧とその部下の十五人に目撃されている。

「覚えがないとは...いったいどういうことか説明してもらえませんか?」

 夜倶盧が美しい顔の眉間に少しばかり皺を寄せ、軽い溜息を一つついて訊いた。

「...今ここで目覚める前...どれくらいの時が経っているのかも分かりませぬが、わたしはある者に変な物を飲まされ、そこからの自身の意識と記憶が全く無いのでございます...断じて嘘は申しておりませぬ」

 

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