orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

一輪の廃墟好き 第4話 若かりし頃

「おはよ~」

 鈴村未桜は朝っぱらからハイテンションな挨拶をしてくるが、僕は敢えてテンションを合さず若干トーンを落として挨拶を返す。

 だからといって彼女の元気すぎる挨拶が嫌いなわけではない。どちらかといえばハツラツとした彼女から元気をもらっている感じがして喜ばしい限り。

 そんな鈴村未桜の容姿をどのように表現したら良いものだろうか...

 例え下手で恐縮だけれど芸能人で例えるならば、少年時代にテレビの再放送で視た若かりし頃のピチピチチャプチャプとした広末涼子といったところだろう。

 「ピチピチ」の後にわざわざ「チャプチャプ」を加えたのは、広末涼子が若かりし頃にはスク水を着て水遊びしているイメージしかないからで、特にこれといって深い意味はないので悪しからず。

 髪型もショートカットというところが重なっていて、ちょっぴり過言かもしれないが顔も似ていると云って良いかも知れない。

 彼女は某有名大学の学生だった頃から僕の探偵事務所でバイトとして働き、卒業後は正社員として働いてくれている。

 もちろん、先に述べたように探偵事務所の収入自体は大したことがないため、YouTube 動画の編集者と兼ねての助手として働いてもらっているのだが、控えめに云っても大した給料は払ていない。

 だから彼女に、「折角良い大学を出たのだからもっと高給取りの仕事をしてみては?」と勧めたけれど、「いやいやぁ、こんなに楽しくて楽な職場は他に探したってないよ~。それに一輪の助手はミオミオしか務まんないと思いま~す♪」なんだそうだ。

 朝、事務所に来てからフリーダムに動く彼女の様子を一日中観察したら、「ああ、こういことね」と呆気なく得心がいったものである。

 因みに僕は助手の鈴村未桜のことを親しみの意味を込めて下の名前で「未桜」呼ぶ。

 今はすっかり慣れてしまったが、雇用関係にあるというのに未桜も僕のことを「一輪」と呼び捨てにする。

 最初の頃は「あり得んだろ」と口には出さずとも流石に抵抗があったので、

「下の名前で呼ぶのは良いけどせめて『さん』くらいは付けてくれないかな」などと注意というかお願いしてみると、

急に瞳をウルウルさせてしおらしくなって見つめられ、「『さん』を付けちゃうと親しみ感が無くなるから嫌だ。ねぇ、一輪で良いでしょ?」と返された日には、

男なら「分かった」か「うん」と白旗を掲げ肯定してしまうしか道はあるまい。

 ついでに云っておくと、タメ口を使ってくるのは出会った時から一貫していて鼻から受け入れてしまっている...


「ねぇねぇ一輪、今日は廃墟の探索に行く日でしょ?」

 若かりし頃の広末涼子似がウキウキ顔で訊いてきた。

 

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