orutana2020のブログ

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一輪の廃墟好き 第78話 二度目

 人魂に関してはかなり古くから書物に登場したり目撃情報やらがあるけれど、19世紀末、イギリスの民俗学者の一説によれば、「戦前の葬儀は土葬であったため、遺体から抜け出したリンが雨の日の夜に雨水と反応して光る現象は一般的であり、庶民に科学的知識が乏しかったことが人魂説を生み出した」なのだという。

 しかしこの説に多くの反証が上がっており、他にも諸説あったのだが、僕と祖父が遭遇した人魂にはどの条件も当てはまらなかった。

 それに僕が視たのは「日本昔ばなし」に出てくるような火の玉そのものであったけれど、祖父には火の玉の周囲に人の形をした青白い靄が視えていたと後から聞かされた...

 

 さて、少しばかり子供の時の話しが長くなってしまったけれど、そろそろ良い加減西暦2022年に話を戻し、続きを語ることとしよう。
 
 

 僕が人生において初めて「人魂」を目にしたのは先に語った通り、小学三年生の夏休みだったわけで、二度目は今現在、本格的に暗くなりつつある雨の中、廃墟となった淀鴛家の裏庭にてリアルに拝むことと相なった状況である。

 裏庭の片隅に置かれ傾いている年期を感じさせる古びた墓石の上に、少年時代に見た「人魂」そっくりの火の玉がその存在を示さんと、ゆらゆら、ゆらゆらと上下左右に揺れながら浮遊していたのだった...

 

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