orutana2020のブログ

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一輪の廃墟好き 第95話 はしゃぐ

 頑張っても精々5、6人くらいしか入れないであろう窮屈で狭い脱衣所で服を脱ぎ、肩に一枚のタオルを掛けて天然温泉のある浴場の入り口を開ける。

「なっ!?」

 浴場へ足を踏み入れようとして僕の足は無意識に止まり絶句した。

 井伊影温泉の表から脱衣所まで、古臭さと歴史を感じる施設の劣化が際立っていのだが、浴場は僕の想像を遥かに超え真新しく綺麗で広かったのである。

 恐らくはここ一年の間で改修されたのであろうことに疑いの余地は無かった。

 まぁそんなもの疑ってもしょうがないのだけれど...どうせ改修工事をするなら脱衣所も一緒にするべきだったのでは?などと思いつつ、シャワー付きの蛇口の前にある黒く、これまた真新しい風呂椅子に腰掛け、蛇口の横に置いてあったボディソープを使って勢いよく身体の洗浄を始める。

 僕はとにかく身体を綺麗にして早急に温泉に浸かりゆっくりしたかった。

 身体を垢すりで少々ざつに擦ると、いつもなら直ぐに洗い流すのだけれど、今回はその動作を省き頭の洗浄に
着手した。

 そしてシャワーほぼ全開で開放し、熱々だが激しい豪雨の如き強さのお湯で一気に洗い流す。

「これでよし!いざ!天然温泉へ潜水!」

 久々の旅先での温泉、しかも今この場には僕の他には誰もいないらしく、まるで子供のようにはしゃいでしまっている僕は、深さの確認もせずに水面目掛けて頭から飛び込んだ!

 

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