一輪の廃墟好き 第136話 鬼ドラ
淀鴛さんの愛車?かどうかは別として、僕たちは彼に促され後部座席に並んで乗り込んだ。
「時間が勿体ない。ちょっと飛ばすが我慢してくれ」
「遠慮は要りません、むしろガンガン飛ばしちゃってください。その方が時間短縮になって僕たちも助かります」
時間のことばかり気にして後先のことを考えもせずに判断し、行動を起こすとろくでもない出来事に遭遇することが稀に、いや、多くの場合はろくでもないことに遭遇してしまうだろう。
そして淀鴛さんに「飛ばしてください」などと簡単に言ってしまった結果、
僕たちは地獄を拝見させていただくことと相なった。
淀鴛さんの運転する愛車(仮)は、信号がないまるでラリーレースのコースのようにくねくねとしたカーブだらけの山道を、鬼のドライビングテクニックを持ってしてアクション映画のワンシーンの如く走らせた。
敵に追われているわけでもないのに...
山道は一応アスファルトで舗装はされているものの、手入れはあまりされていないようで、剥がれ凹んだ穴が数多く見受けられ、横へ吹き飛んでしまいそうなくらいの凄まじい遠心力と、時折車内の天井に頭をぶつけるほどの豪快な縦揺れのコラボによって、後部座席に座る僕と未桜の身体は、それはもうボロボロのボロ雑巾のようになった感覚すら覚えたものであった...
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