一輪の廃墟好き 第147話 抵抗
未桜は相変わらず新川頼子さんの遺体を念入りに調べていた。
期待値は底をつくほど低い彼女だけれど万が一があるかも知れないの取り敢えず放置し、被害者の衣服は僕と淀鴛さんの二人で調べることにした。
壁際に置かれた折り畳み式のテーブルの上へ、一人一袋ずつ開封して丁寧に衣服を置き広げる。
偏見かも知れないけれど昨今の就寝事情においては、パジャマなどの睡眠専用衣類を着て就寝する人は減少傾向にあるのではなかろうか...
僕が手にしたのは夫の新川武治さんの衣服だったが、「寝巻き」といった感じではなく、生地が薄く濃い緑色をした普段着で着るような長袖のシャツだった。
しかし当然のことながら、「長袖のシャツ」は綺麗でも正常な状態でもなく、普通はではあり得ない刃物によって切り裂かれた部分が数箇所存在し、その付近には、新川武治さんの流した血が大量に染みついていた。
やはり実際に見てみると想像してたより酷く生々しいな...
僕は探偵稼業を生業としているけれど、普段受ける案件は浮気調査やペット探しであって、人の血液などを拝見するよう場面は滅多にない。
ゆえに多少なりともこういった光景には抵抗があるわけで...
外科の医者や殺人課の刑事をやっている人達はきっと何度も目にするうちに、感覚が麻痺して慣れてしまっているのだろう...
===============================
過去の作品はこちらにまとめてあります!
https://shouseiorutana.com
===============================