刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第20話 戯言
雲峡とお銀が話す隙を突き突如として地面に現れた異次元空間。
無論これは自然に起こった現象などではなく、仙人界でも亜孔雀の窮地を救った上級悪魔、空間を自在に移動する術を持つ地雷蚓(じらいず)の仕業にほかならなかった。
彼は亜孔雀の元教育者であり監視者でもあった。
故に亜孔雀が魔界三大魔王が一人羅賦麻からの使命を受け、此度人間界へ赴く際も密かに監視し見守り続けていたのである。
悪魔の王子で気高い本人が監視されていたなどと知れば怒り振る舞うことは目に見えているが、命に関わる窮地を救われたのだから受忍せざるを得ないであろう。
奇しくも亜孔雀を逃してしまった雲峡に仙花が容赦ない罵声を浴びせる。
「馬鹿馬鹿馬鹿~っ!やはりお主は阿呆な仙女であったか!?悪魔から情報を聴き出す絶好の機会を逃してしまうとは何ごとぞぉ!」
仙花の罵声は的を射てはいるけれど、一応彼女らを助けた形となった雲峡としては到底納得のいくものではない。
本気で仙花に対し怒りを覚えた雲峡が据わった眼で彼女を睨みつける。
「お主、誰に向かって戯言を抜かしている。三枚に下ろしてやろうか?」
「うっ!?...」
殺意を含めた雲峡の圧倒的な覇気を感じとった仙花は気圧され、その後は言葉をを返すことなく押し黙ってしまった。
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