orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第16話 水分

 雲峡の実力をまざまざと知ることとなった仙花一味。

 仙花を始めとした全員が信じられない光景を目の当たりにしてポカンとする中、這いつくばるような形で痙攣したままの亜孔雀を蔑む眼でジッと見ながら雲峡が言う。

「悪魔よ。お主は魔界三大魔王が一人、羅賦麻(らふま)の息子亜孔雀であろう?」

「.............」

 気を失ってでもいるのか亜孔雀からの返答は無い。

 そこへ涙を浮かべた真如が駆け寄る。

「うっ、雲峡様!久しゅうございます。まさかまた貴方様と再会できる日が来ようとは...」

「...ん、真如か。久しいな、お主もだいぶ老けてしまったものよう。無事に息災であったか?」

「はっはい!仙女で無くなりはしたものの、僅かに残された力を使い、なんとか今日まで生きながらえました」

「そうか、頑張って生きていたのだなぁ...」

 堕仙女となってからの数十年、真如は人間界においてほとほと辛い生活を強いらていたが、彼女は自らの命を絶つことを選択肢から永遠に抹消し、今日まで耐え忍びながら生きて来たのである。

 恩人である雲峡と言葉を交わす真如の目からは、身体中の水分を全て流しきってしまうのでは?と心配になるほど涙が溢れ出ていた。

 だが感動的な再会の裏に、雲峡が真如へ告げていない事実があった。
 仙人界から堕ちた真如と久しぶりに会うが如き態度を取っていた雲峡であったが、実は心から真如を心配し、時折、真如の目の届かない空から彼女の様子を眺めつつ、陰ながら彼女の生活を見守っていたのだけれど、それを口に出すほど野暮な雲峡ではなかった...
 

===============================
過去の作品はこちらにまとめてあります!
https://shouseiorutana.com
===============================