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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第45話 大勢

 タレの染み込んだ鰻の蒲焼きに白い飯、それに加えて美味い酒があり、つまみとして真如が準備していたのは串に刺さった「ナスの田楽」であった。

 これだけ揃えば食と酒が進むのは間違いないであろう。

 細やかな宴会が始まって間も無く、大量にあった鰻の蒲焼きは皆が皆競うように手に取って胃袋に注ぎ、囲炉裏を囲むほどあったものがあっという間消え去った。

 しかしそこからが仙花一味の真骨頂、つまみのナスの田楽を片手にグイグイと酒が進む進む。

 久しく酒を口にしていなかった大酒飲みのお銀や蓮左衛門はもちろんのこと、普段は好んでは呑まない九兵衛も酔うほどに呑み、仙花は仙花で顔を真っ赤にしながら楽しそうに呑んでいた。

 四人がさも楽しそうに酒を呑む姿を、温かく見守るように笑みを浮かべた真如が嬉しそうに眺めている。

 その横でしっとりと酒を嗜む雪舟丸が目を合わさず真如に言う。

「真如殿、今宵は拙者らに美味い食事と酒をあてがっていただき感謝致す」

 真如も視線を変えずに返す。

「な~に礼などいらぬ。これは昼間食わせてもらった串団子のお返しだと言ったじゃろ...しかし、ほんにどれくらいぶりかのう。大勢で楽しく宴会をするのは...」

 仙人界で生活をしていた頃の真如は、回数こそ多くなかったものの、仙人が数人から十数人集まっての宴会にも参加して楽しく過ごすこともあった。

 堕仙女になってからというもの、宴会を楽しむ機会を完全に失い、一人寂しく食事をする毎日だった真如は、華やかなだった仙人界を懐かしく思い出しながら、酒を楽しむ仙花達を嬉しそうに眺め続けたのだった。

 

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