刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第38話 怒気
「お主ら、美味い飯も酒もどうやらいらんらしいのう」
堕仙女になってしまったとはいえ、仙人だった頃の力が僅かながら残っている真如。そんな彼女が凄みを効かせて怒気をあらわにし、仙花一味は揃って気圧された。
「悪かった悪かった。背に腹は変えられん。今宵は喜んで泊まらせていただくとしよう」
「...お主、仙花とかいう名であったな。それで謝っているつもりか?」
「あっ!あああ!申し訳ございやせん。此処はあっしが代表して謝罪させていただきやすんで、どうか!どうか気を落ち着けておくんなましぃ~!」
仙花では火に油を注ぐだけだと素早く判断した九兵衛が額を地に着け土下座すると、お銀と蓮左衛門も土下座こそすることはなかったが、頭を深々と下げて陳謝の意を表す。
「ふん!まぁ良いわい、この先暫くは行動を共にするんじゃ。つまらぬことで怒っていても仕方があるまいて...」
キョトンとする仙花と居眠りを続ける雪舟丸を除いた者たちの意気が伝わったのか、真如はそう言っておんぼろな我が家の戸をガタガタと言わせて開放した。
「さぁ、入れ。中の掃除だけは欠かさず徹底しているゆえ綺麗なもんじゃ。ゆるりと寛ぐが良かろう」
家の中へスッと入った家主の真如に続き、仙花を先頭した一味も家屋の中へと入って行った。
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