orutana2020のブログ

文章を書く上で疑問に思った事や、調べた事を適当に掲載します

刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第44話 徳利

 お銀が微笑して応じる。

「お任せあれ、魚を捌くのは得意でございますゆえ」

 鰻は他の魚類と比べ姿形が異質であるけれど、海と川の両方で生きられる立派な魚類である。

「すべて蒲焼きにするつもりじゃからよろしく頼むぞい」

「承知しました」

 そこらはお銀だけでなく、仙花、蓮左衛門、九兵衛の三人も食事の準備に参加し、居眠りを続ける雪舟丸以外が総出で取り掛かった。

 お銀が台所で流れるような所作で次々と鰻を捌く中、真如が蒲焼のタレを調合しつつ他の三人に支持を出す。

 あれよあれよと言う間に食事の準備が整い、囲炉裏にはお銀によって捌かれ、タレをたっぷりと染み込ませた鰻が串に刺された状態で並ぶ。

 囲炉裏を五人で取り囲み座ったところで仙花が未だに寝ている雪舟丸に声をかける。

雪舟丸!飯の支度ができたぞ!そろそろ起きて共にいただこうじゃないか」

 仙花の声が耳に届き、雪舟丸が即座に目を覚ます。

「...食欲をそそる良い匂いだ...」

「そうじゃろそうじゃろ。ほれ、お主は儂の横に座るがよかろう」

「辱い」

 真如に席を勧められ、雪舟丸は素直に言うことを聞き横に胡座をかいて座った。

 茶碗に盛られた白飯の横には一人一本ずつの徳利が添えられており、無論、その中には皆の好きな酒がたっぷりと入っていた。

 

===============================
過去の作品はこちらにまとめてあります!
https://shouseiorutana.com
===============================