刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第54話 口笛
そしてマイペースにゆっくり歩いていた座頭市が、蓮左衞門や九兵衛の肉眼でもハッキリと確認出来る位置まで近づく。
お銀に言われたことを実践しようと、蓮左衛門がやり慣れていない下手くそな口笛を吹き始め、九兵衛が右手と右足、左手と左足を同時に前へ出しながらギクシャクと歩み始めた。
その様子を目にしたお銀が呆れ顔をして小声で話す。
「お主ら...あからさまに不自然になっているぞ。もっと自然に振る舞ってくれれば良いものを...」
「お、おうでござる」
「かっ、かしこまりぃ」
変に緊張している蓮左衞門と九兵衛が噛みならも返事を返した。
と、お銀がおもむろに仙花の方へ目を向けると、仙花は仙花で眼をギンギンに開きながら座頭市の方を注視しているではないか。
「...仙花様、手前の申したこととは『真逆』の行動になっておりますよ。どうか彼から視線を外してくださいませ」
「う、うむ、すまん。あの男がなかなかに面白い格好と動きをするもんでのう。知らず知らずのうちに見入ってしまったわい」
仙花はすまなそうにそう言うと、座頭市から視線を外してより右側へと移動して歩いた。
さて、此処で一つの疑問が浮き上がる。江戸時代の道での歩行は右側を歩いていたのか、はたまた左側を歩いていたのたのか?というものだ。調べてみればどうやら賛否両論あるようだが右側が有力のよう?なので、仙花一味と座頭市は共に右側を歩いていたものとしたい。
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