刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第55話 眉間
束の間に仙花一味の演技力の無さが露呈したわけだけれど、そんなことはお構い無しに座頭市との距離は更に縮まり、いよいよもってもってすれ違おうとしてしていた。
ここまで来ればもはやヒソヒソと話すわけにもいかず、平静を保つお銀と、居眠りをして歩き続ける雪舟丸以外の三人は、吐きそうなほど緊張したものである。
やがてすれ違いの時は訪れ、仙花一味は何事も無くやり過ごせたかに思えたのだが。
すれ違い様に座頭市の不恰好な歩みがピタリと止まった。
お銀を始めとして仙花、蓮左衛門、九兵衛の四人がギクリとする。
盲目の座頭市が瞼を閉じたまま仙花一味の方を向き、しゃがれた声でもの申す。
「...こりゃぁどういうことか。そちらの旅人さんたちの中にど偉い剣気を放つお方がぁ...一人いらっしゃるようで...」
仙花達は座頭市の言葉を聞くや直ぐに「ピン!」と来て、全員がほぼ同に最後尾の雪舟丸に注目した。
先程まで「すぴ~、すぴ~」と鼻を鳴らして居眠りしながら歩いていた筈の雪舟丸は、目を「カッ!」と見開き刀の鞘に手を添え、既に臨戦態勢だと言わんばかりに身構えている。
「何晒しとんじゃ!てめぇっ!!!」
お銀が眉間に皺を寄せ、鬼のような形相で雪舟丸に怒鳴り散らした。
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