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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ3

「ほう、何か考えがあるのだな?」

「左様にございます。若干不本意ではありますけれど、手っ取り早く済ます方法がございまして...仙花様、少々この場から離れて頂きたいのですが...」

「ん?離れれば良いのだな。承知したぞ」

 仙花は素直に言うことをきき、その場からサッと離れた。

 するとお銀が目を細め集中して九字印を結び、忍の者が忍術を発動する際の構えをとる。

 カッと目を見開き。

「忍法水遁の術!水龍発破!」

「ズァパーーーッ!!」

 流れる川の一部に渦巻きができたかと思うと、そこから水で形成された正に水龍が現れ、人の十倍ほどの高さまで身体を伸ばした。

「せいっ!」

 お銀が組んでいた手を解き、水龍に指示を与えるが如く右腕を振り下ろす。

「ザッザザザザァァァーーーッ!!!」

 水龍は頭から橋板に突っ込み、到達した部分から術を解かれ元の水に戻り大量の水飛沫をあげていく。

 水飛沫が終わった頃には前言通り見事なまでに橋は綺麗になっていた。

「ほえ~!実に見事なり!ほんに忍法とは凄いものだのわい♪」

 光圀に聞き知ってはいたが忍法を初めて目の当たりにし、心の底から感動した仙花が手放しでお銀を褒め称える。

「お褒めに預かり光栄にございます。...丁度良いところへ三人も帰って来たようにございますねぇ。そろそろ旅路を進めると致しましょう」

「おっ!?そうであるな。進めるとするかのう♪」

 こうして、溺れる童女と野盗に襲われるその父母の窮地を救った一行は、律儀にも事件のあった現場の後片付けまで済ませ、川に架かる橋を渡って下総の地へと足を踏み入れたのだった。


 道を歩く一行が目指すは一晩泊まる宿屋。
 しかし時刻は夕方近くになるものの、宿はおろか建物一つ見当たらない。

 幾らか不安を覚え始めた蓮左衞門が、一行の中でも地理に一番詳しいくノ一のお銀に訊く。

「お銀殿、日もだいぶ傾き始めておるようだが、この道の先に宿屋はあるのでござろうか?」

「...そうだねぇ。心配せずとも夜の帳が下りる頃には、人気も増え宿屋の一つもあるはずだよ」

「そうかそうか!ならば安心でござるなぁ!早ようひとっ風呂浴びて酒でも呑みたい気分でござる。ワッハッハッハァ♪」

 笑い声には、時と場所により人に影響を与える様々なものがあるけれど、蓮左衞門の大きく元気な声には不思議と周りの者を元気づける効果があった。

 その証拠に居眠り侍を除き、仙花、お銀、九兵衛の三人は伝染したように笑みを浮かべていた。
 旅をするならやはり笑顔は欠かせないものである…

 

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