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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ9

「うむ、ギリギリではあるがな...」

 仙花が蓮左衞門に応じるあいだに雪舟丸がまた動いた。

 三人が一瞬で斬り捨てられ、怯んだ雑魚衆の中へ飛び込み斬りかかる!

「ヒュヒュヒュヒュン!ヒュヒュヒュン!」

 太刀筋の見えない剣捌きを繰り出し雑魚衆全員の隙間を縫うように過ぎ去った。そこでやっと斬られたことを悟った者達が呻き声や叫び声をあげる。

「っ!!??」

「うぎゃっ!?」

「ぬぁあああっ!!?」

 雑魚衆七人が尽く血飛沫を上げバタバタと倒れていった。
 凄まじい剣速での連続攻撃にも関わらず、全ての者を一撃必殺で葬った雪舟丸。居眠り侍、恐るべし!

「てめぇは生かしちゃおかねぇ!!!」

 仲間をやられて怒り心頭の土滑が顔を真っ赤にし、雪舟丸めがけやたらめったらと大金棒を振り回す!

「ブゥン!ブゥン!ブゥン!」

 大袈裟ではなくちょっとした風が起こるほどの素振り!そう、音と威力こそ抜群の土滑の攻撃には鋭さが皆無であり、蝶のように舞ってかわされ単なる大金棒の素振りと化していた。

「そんなんじゃ一万回振ったってあたりゃしないぜデカブツ」

「ヒュン!」

 「飽きた」とばかりに刀で斬ったのは力自慢である土滑の大金棒を振る鍛え抜かれた右腕であった。

 切断された右腕と金棒が慣性の法則に従い空を舞い。

「ズゥン!」

「ひぇっ!!?」

 目の前の地面まで届きおっかなびっくりする九兵衛。

「ヒュン!」

 次の瞬間には雪舟丸が土滑の首を呆気なく斬り落していた。
 普通なら、人を斬った刀の刃には血が付着するものだが、雪舟丸の刀には一滴の血もついていない。刀を立て、それを確かめたあと四谷流甲斐に問う。

「さて、お仲間は全員あの世へ逝ってしまったわけだが、ただ一人残ったお主はどうする?...んん?」

 芥五人集が一人、四谷流甲斐は剣を納めいつの間にか馬に跨っていた。

「お前の実力は存分に知れた。流石の俺もお前と後ろの四人を纏めて相手する気にはなれん。命あっての物種だからな。今日のところは一旦ひかせてもらうぞ。おっと、折角だ。お前の名を訊いておこう」

 四谷流甲斐は雪舟丸の実力を知り「無駄死にするよりは」と判断したらしい。

「フッ、笑止。戦わずして逃げる者に名乗る名など持ち合わせておらぬ」

「くっくく、だろうな。まあいいさ、じゃあな」

 馬ごと雪舟丸に背を向け走らせる四谷流甲斐。

「あやつ。登場はなかなか様になっておったのに尻尾を巻いて逃げるようだな」

「そのようですねぇ....仙花様」

「うむ、承知しておるよ」

 お銀に目配せされた仙花がその意思を汲み取り弓を構え、馬に乗って颯爽と逃げる四谷流甲斐に狙いを定める。

 

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